この恋心を悟られてはいけない
「いや、羽根の色が違う。身体はこの色だが、羽の色は光に当てたみたいな明るい色だ。今にも飛んでいきそうなリアルさに惹かれて購入したから間違いない」
「それにこんな鎖は付いていませんでした」
「あれを見つけたのがバレないよう、部屋を荒らす際にランプは割っちまったが破片なら提出できるぞ?」
「大きいカケラだけ繋ぎ合わせても大体の色は確認できるかと。私、今から戻って取ってきましょうか?」
「いや、後で部屋とその部屋を使用していたというスタッフの取り調べをさせてもらう。その際は君達にも協力してほしい」
「当然。こちとら善良な市民だからな。あいつは今日も出勤してくる予定だ。こちらとしてはスタッフの中に仲間がいる可能性は考えたくないが、店内で騎士が控えているとリークされて逃げられても困る。働いているところに客として来るのが一番だと思うんだが」
「本当なら少し泳がせたいところだが……末端だろうからな。そうさせてもらおう」

 リオネルとアンセルの間で計画がサクサクと進んでいく。ヴェルデはそれを見ているだけ。このまま出番はないかなぁとぼんやりと考えていると、すぐに否定された。

「ヴェルデは騒ぎになった時、俺と一緒に他のスタッフと客の対応な。常連達の接客は後回しでいい。おっさん達は完全に無関係だからな」
「あまり大きな騒ぎにならないといいんですけどね……」

 彼らはヴェルデが来る前も含め、一度も二階に上がっていない。飲み食いだけ済んだらサクッと会計を済ませて帰るため、滞在時間は短めだ。来て早々店の奥に案内されるため、他の客がそちらに向かえば目立つ。彼らが他のテーブルに行くのも同じ。

 今回の一件に関与することはほぼ不可能だ。
 騒ぎがあったからと早々に店を出たとしても問題ないのだ。

 後で事情を話し、謝罪すればいい。事情が事情だけに許してくれるだろう。
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