この恋心を悟られてはいけない
 十日も我慢すれば帰れるだろうと考えていたヴェルデだったが、その後、捜査はなかなか進展しなかった。

 気づけば彼の家で暮らすようになってからひと月が経過していた。

 一緒に朝食を食べ、酒場まで送ってもらい、夕方に店で合流し、同じ家に帰る。
 絶対に一人では出歩かないよう、固くいいつけられているため、ちょっとした買い物に行く時も荷物を取りに行く時も一緒だ。休日は一緒に料理することもある。リオネルは一人暮らし歴が長いようで、料理が得意だったのだ。

 この家での暮らしにも慣れてきた。
 ことあるごとに危機感が薄いと指摘されるが、なんだかんだ上手くやっている。

 二週間前にはレース糸を大量に買い込んだ。
 彼との買い出しの際、雑貨屋で安売りしているのを見かけたのだ。ヴェルデとしてはあまり荷物を増やしたくなかったが、暇を潰せるものがほしかった。

「よし、できた!」
 レースを編むのは久々で、買ってきた日に練習代わりにコースターを編んだ。編み終わってから、コースターが二枚あることに気づいて頭を抱えた。

 練習するだけなら二枚も作る必要はない。
 しかも一枚は黄色い糸で。リオネルの瞳の色である。完全に無意識だった。
 
 だがわざわざ解くのも違う気がして、かといって自分で使う勇気はない。
 そこで食事の際、何も言わずにコップの下に敷いてみた。

「こういうのもいいな」

 リオネルの反応はたった一言だけ。顔色ひとつ変えず、色味なんてまるで気にしていなかった。それどころか翌日「君に似合いそうなのを見つけた」と言って黄色のリボンを贈ってくれたくらいだ。

 黄色が好きくらいにしか思われていない。ヴェルデが意識しすぎているだけなのだ。
 それからは自宅に戻ってからも使えそうなテーブルマットや鍋敷きなどを作っては、たまに使っている。
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