王子様は私に夢中
そんな日が続いて、しばらく経った頃…。
私は花や野菜、木々など色々の植物の育て方をサレイさんに教えてもらった。
そしてサレイさんと城の外にも苗を購入するため城を出る事もあった。
そこで見たもの…。
それは水不足になっている街並みだった。
水不足で作物は取れず、街の人達は飢えに苦しんでいた。
「サレイさん…。これ…。」
「あぁ。しばらく、雨が降らず水不足になっている。田畑は荒れて植物は枯れている。さぁ、行こう。」
私はサレイさんに付いていくと、苗売りの農家さんがいた。
「いらっしゃいませ。サレイさん。」
「あぁ。カレドルの苗はあるか?あと…。チカレ。他には…。」
「すみませんねぇ。その2つ以外はありませんよ。この日照りてやられたんですよ。そうだ、納税、何とかなりませかね?街の皆、食べ物にも困ってる状態だ。」
「あぁ。すまねぇな。それは俺に言われてもどうにも出来ない。ではその2つ貰っていく。」
サレイさんは、注文すると、農家さんの家を出た。
その他にも色々と街で買い物をしたが、皆、元気が無い。
こんなにも活気の無い街があるなんて…。
私は何だかモヤモヤしながらお城に帰った。
「サレイさん…。何とかならないんですか?」
「どうにもならん。城の連中は、街があのようになっている事すら知らない者もいる。そして…己の事さえ良ければ…の奴もいる。」
「そうですか…。」
私達は、お城に戻って花の手入れにかかる。
ここにいると、何もわからない…。
私は、花の手入れをしているだけでいいの?
でもどうして良いのかわからない…。
何も出来ない自分がもどかしい…。
そんな事を考えていたある日…。
「何これ…っ。サレイさんっ!!」
もうすぐ、花が咲く予定だった畑が踏み荒らされている。
「何で!?もうすぐ咲く予定だったのに…っ。」
サレイさんは何事も無かった様に荒らされた畑を片付け始めた。
「サレイさん!どうして!?こんな事されて怒らないなんて!犯人捕まえましょうよ!」
「良いんだよ。いつもの事だ。」
「いつも?サレイさん、犯人知ってるんですか!?」
「あぁ。でも…仕方ないんだよ。」
「仕方ないなんて!どんな奴なんですか!?お城の花壇なんだから、ここのお城にいる誰かって事でしょ!?」
「良いんだよ。ほら?早く片付けるぞ。」
サレイさんは、無言で何の感情も無く荒らされた畑を片付けると、いつもの業務に戻っていった。
その次の日もその次の日も畑が荒らされていった。
もう我慢出来ない!
私は、次に狙われるであろう畑の近くの茂みに隠れて見張った。
今日は雲がかかっていて辺りは真っ暗。
夜が更けた頃…。
誰かが花壇に入り、花を踏み荒らしている。
「くそっ!このっ!ああっ!もうっ!くそっ!くそっ!くそっ!はぁ…っ。はぁ…っ。」
アイツだ。
男?
私は男の目の前に飛び出した。
「ちょっとっ!!!アンタ何してんのよ!!」
「っ!!侵入者か!?」
「侵入者はアンタでしょ!?」
雲が流れ月が出ると、月明かりで男の顔が現れた。
何このイケメン…。
「…っ。し、し、侵入者!!」
「はぁ!?だから違うって言ってるでしょ!?あなたどこの人!?どこのグループの人!?」
「……侵入者ではない様だ…。グループ?何だそれは?」
「グループ知らないって貴方の方が侵入者じゃない!!役人に突き出してやるんだから!」
私は、花壇荒らしを捕まえる為に、役人見習いのウェールズさんに教えてもらった護身術と縄での捕まえ方をその男にかけた。
「痛っ!何をする!無礼者!!」
「何が無礼よ!ふざけるな!侵入者!!花壇を荒らしてた事、絶対、許さない!!」
「はぁ?花壇?…ふっ。バカか?花壇ごときで…。」
「ごときとは何よ!愛情込めて育てた物を壊すなんて許せない!こっち来なさいよ!」
私は男を引きずって門番さんの所に連れて行った。
「すみません!チェルさん。コイツ侵入者です!そして最近、毎日、花壇を荒らしてた犯人です!」
「ん?…えっ?おま…っ。お前、なんて事を!失礼しました。すぐに解きます。」
「どうしてですか!?コイツ、花壇を荒らしてた奴なんですよ!」
するチェルさんは青ざめた。
「澪!このお方は、第3王子のネルカ様だ。お前…何で事を…っ。」
「へ?ネルカ様?」
「ネルカ様!使用人が大変失礼を致しました。すぐに執事長を呼んで参ります。」
しばらくすると、シャットさんとカルファさんが飛んで来た。
「ネルカ様。大変失礼な事を…。申し訳ありません。こんな大惨事を…っ。この使用人はすぐに処刑致します。そして、私も責任を取らせて頂き処刑して下さい。」
カルファさんが頭を下げている。
「私の責任です。ちゃんと教育する様、伝えれなかった私の責任…。私も処刑を…。」
私….大変な事をしちゃった?
でも…元々、アイツが悪いんじゃない。
何で私達3人が処刑されるの?
「おい。女…。お前、何か言う事は無いのか?」
どうせ殺されるなら言いたい事を言う。
「私は第3グループに所属してたのにリーダーの顔を知らなかったのは私が悪いです。ごめんなさい。謝ります。でも、花壇を荒らすのは良くないと思います。むしゃくしゃしてるなら別の方法でストレス発散して下さい!」
「澪!ネルカ様に向かって何ていう口の利き方!」
「私は、上の人だからって、やって良い事と悪い事の区別はつけるべきだと思います!」
「なっ!申し訳ありません!もう喋るな!」
もう言いたい事は言えたし。
ここで死んだら、現実世界に帰れないかなぁ…。
「ふーん。処刑されるの怖くないの?俺の事、睨んでる奴、初めて見た…。面白いね…。お前らの処刑は無しで良いよ。この女は俺の専属にして?色々、観察したいし…。」
「せ、専属?ですか?」
「うん。部屋も同じで。観察したいから…。」
「か、かしこまりました。」
「おい。女…。面白い結果、楽しみしてるぞ?」
「は?嫌です!」
「嫌?だったら毎日花壇を荒らしてやる。」
「くっ!わかりました…っ。」
私は荷物を纏めさせられて入った事の無いエリアに入る。
そして、お風呂に入らされ服を着替えさせられた。
何とも妖艶な夜のドレス…。
「いいか?お前は本当は死罪になっていた。そのくらい大きい罪を犯した。それをネルカ様のお優しさで生き延びた。その事を常に頭に置き、何があってもネルカ様の仰せのままにするんだ。わかったな。」
カルファさんに言い聞かされ、大きな綺麗な装飾を施しているドアは重く開きづらい。
そこを開けると、ネルカが椅子に座っていた。
「おぉ…。女…。来たか?どうだ?気分は?侵入者呼ばわりした男がお前の主人だ。」
「最悪…。いえ、大変申し訳ありませんでした!」
「くくっ。カルファに言われたか?全く気持ちがこもってないぞ?」
「寝ないんですか?もう夜遅いですよ。」
「話を逸らしたか…。面白い奴…。あー…。そうだな…。ちょっとした散歩のつもりが…かなり夜更けになってしまったし、変な拾い物をした。あ…。夜伽の相手になるか?」
ニヤリとネルカが笑う。
「嫌!絶対に嫌!」
「カルファに俺の命令は絶対。と言われて来たんじゃないのか?」
「嫌なものは嫌です!それに貴方…ネルカ様にも素敵な夜伽相手はいますよね?」
「まぁな。つまらん女共がな…。まぁ良い。ここに寝ろ。」
そう言うと、ネルカは私の手を引きベッドに押し倒した。
久しぶりのふかふかなベッド。
こんな状況じゃ無かったらどれほど良かった事か…。
すると布団に入り抱きしめられた。
「今宵からお前の寝床はここだ。お前の事、調べて、観察して結果がわかるまでずっとここだ…。俺から離れるなよ?」
そう言うとネルカは、私を抱きしめたまま目を閉じて寝息を立て始めた。
嘘でしょ。
てっきり襲われるのかと思ったら違った…。
私は身体を捻り、ネルカの腕から逃れようとしたが、どうしても絡み付いて無理だった。
とりあえず私も頑張って寝よう。
私は目を閉じると疲れがどっと出たのかすぐに意識を手放した。