王子様は私に夢中
朝起きるとネルカさんはまだ眠っていた。
寝顔も綺麗…。
私はそっとネルカさんの腕から逃れてベッドから出た。
昨日の夜に大きなクローゼットが用意されて私の服が入っていた。
これは上級のメイド服…。
私は今まで下級の使用人だったから、上の人に会う事すら無かった。
まず制服が違う。
私は新しい制服に袖を通した。
ドアを開けようとすると、カルファさんが、部屋に入って来た。
「おはようございます。おや?初めて夜伽をされたかと思ったが…。ネルカ様は?」
「おはようございます。ネルカさんは、寝ていますが…?」
「ネルカさんではなくネルカ様と呼びなさい。…ネルカ様が寝ている?まさか…そんな…っ。……本当だ…。眠っていらっしゃる…。お前…ネルカ様に何をした?」
「な、何もしてません。」
「だったら昨夜はそんなに激しく?音は無かった気がするが…?」
「は、激しくって…っ。何も無かったです!!」
「そんなはず…。ネルカ様は、今までこんな…。」
布の擦れる音がした。
ベッドを見るとネルカ様が起きた。
「………。なんか……頭、スッキリしてる…。」
「澪さん。ネルカ様のお食事の準備を手伝って下さい。明日からは貴方が用意して下さいね。」
「はい。」
食事は朝ごはんなのに豪華だ。
すると、ネルカさんは本を読みながら食事には一切、興味を示さない。
時には口からポロっと落ちている。
「あっ!もったいない!」
「ん?」
私が大きな声を出したため、ネルカ様が本から目を離した。
「ちょっと!もったいないでしょ!」
「澪さん!そんな言葉遣いはやめなさい。」
「街の…街の人たちは、ご飯食べれていないのに!」
「じゃあ、お前が口に入れろ。」
「本から目を離しなさいよ!」
「時間の無駄だ。」
「全てのこれを作った人に謝りなさい!」
でもネルカ様は本から目を離さない。
「あ?ん?早く入れろ。」
「何なの!?」
「喉に詰めてしまえ!」
私はネルカ様の口に大きく切ったパンなど詰め込みまくった。
口いっぱいになって、まだ入れようとする私の手を握り指で爪を撫でた。
「っ!」
ゾクッと指先から電流が流れる様だ。
「ん?ほら、早くあーん。」
「何なのよ!もう!はいっ!」
サラダを口いっぱいに詰め込んでやった。
「むぐっ。んっ。んっ。んっ。ゴクッ。…………おい。今から研究室に行く。」
「かしこまりました。」
じゃあ私は畑に行こう。
準備が出来たネルカ様を見送ろうとすると不思議そうにネルカさんが、私を見つめた。
「お前も一緒に来るんだろ?何故そっちにいる?」
「え?私は…畑に…。」
「はぁ…。お前はこっちだよ。早く来い。」
私はネルカ様について行った。
畑から少し離れた所に小屋がある。
そこには近付かないように言われてた場所。
興味が無かったから全く近付く事はしなかった。
ネルカ様が小屋のドアを開けると色々な草花や石、フラスコなど研究室のようだった。
「特別にお前は入れてやる。その代わり手伝えよ。」
部屋に入るとくしゃみと鼻水が出てきた。
私が窓を開けると怒られた。
こんな埃っぽい部屋に居たら病気になっちゃうよ…。
「ネルカさん…。あ…ネルカ様…。あの…。部屋の掃除させてください。お願いします。」
「様じゃなくていいよ。特別に。んー?掃除?別にいらないけど…。でも…まぁいいよ。しても。」
「ありがとうございます。」
私は掃除を始めた。
何が入ってるのかわからない瓶。
ポタポタと何かの液体が上から下に移動している。
草花の干した物があったり…。
何かが薬品に浸かっていたり…。
多分、ネルカさんは、化学や実験みたいな事が好きなんだろう。
今はデータを取りながら、液体を混ぜている。
ネルカさんが、しばらく研究に没頭していると、ドアがノックされて、カルファさんが入って来た。
「失礼します。ネルカ様。ラルゴ様が剣術の練習に付き合うようにと呼ばれております。」
「はぁ…。また…。わかった…。」
そう言うと、顕微鏡のような物を覗いてた顔を上げて、部屋を出る。
私も追いかけようとすると、ネルカさんは、手で制止した。
「いいよ。来なくて。見てても面白くないし…。ここ、掃除しておいて…。」
「はい。」
ネルカさんは出て行き、私は1人部屋に残された。
私は言われた通り、部屋を掃除した。
居ないから良いよね?
窓を開けて換気して、部屋に散乱している紙を纏めて床も箒で掃いた。
少し時間が経つとネルカさんが帰ってきた。
「おかえりなさい。」
そう言うと、ネルカさんは少し目を見開いた。
「あ…あぁ。ただいま。そんな事、言われたの初めて。ははっ。なんか良いね。そう言われるの…。部屋…綺麗にしてくれたんだね。ありがとう。」
そう言うと、私を側に呼び寄せて、頭を撫でた。
「っ!」
私の頭から離れた手が、また顕微鏡に移り、今朝、見た光景に戻っていった。
夕方になり、カルファさんが、呼びに来た。
小屋を出る時に鍵をかけたカルファさんが私に鍵を渡した。
「ネルカ様は、ここに鍵をかけないと、ずっとこの小屋に入り浸ってしまう。だから昼と夕方は必ず一度、外に出して食事を取っていただくように。」
「はい。承知しました。」
城に戻り夕食が出てきた。
まぁ、王子様が食べる物だから、仕方ないのはわかるが豪華だ。
それなのに、夕食のお皿には一切、目もくれず、本を読んでいる。
「昼は居なかったけど、今は、澪がいるから食べさせて?あー。」
何それ。
「行儀が悪いと思います。自分で食べて下さい。」
「えー。めんどくさい…。食べさせろ。これは命令だ。」
私はムカつき、また口いっぱいに詰め込んでやった。
これで、詰めて死んでも、私のせいじゃないから!!
口がいっぱいになると、私の指に自分の指を絡めて止める。
時折、絡めた指をすりすりと撫でて、キュッと力を込めたり遊んでいるようだ。
無意識なのかな?これ?
まるで恋人が、じゃれ合うように私の手を無意識に撫で回している。
そして、口に入れての合図のように手を離した。
多分、無意識なんだろうな…。
本から一切、目を逸らす事なく、ページをめくっている。
こんなに綺麗に盛り付けされている料理が可哀想だ。
食事が終わると、本を読んでいるネルカさんをおいて、私はカルファさんに呼ばれた。
「今から湯浴みの準備です。これに着替えて下さい。」
白の半袖のTシャツに短いスカートだ。
恥ずかしい…。
「私がネルカ様をお連れするので、身体を洗って差し上げて下さい。」
「えっ!?洗う?」
「えぇ。まさか…。お風呂の中でも本を読んでるとか?」
「いいえ。こちらでは、このようなしきたりなのです。王子は穢れを落とす際は、その行為をしてはいけないのです。あとは、子をも作る役割もあります。」
「ん?子を作る?」
「えぇ。正妻の子だけでなく、後継者は1人でも多い方が良いのです。まぁ、ネルカ様の場合、夜伽が出来れば、即、正室になれますよ?貴方なら…。まぁ頑張ってください。」
「いや、頑張るって…。そんな事しませんから!」
カルファさんが、変な事を言うから意識してしまう…。
ネルカさんが、浴室に入って来た。
薄いガウンの様な物を羽織っていた。
素っ裸で来るかもって思ってたから身構えちゃった。
ホッとしていると、いきなりネルカさんがガウンを脱いだ。
「きゃっ!ちょっと!何脱いでるんですか!!」
「え?脱がないと身体を洗えないし…。」
「確かに…。すみません。」
私は、なるべく下を見ないようにネルカさんの身体を洗った。
しかも、タオルで洗うのでなく、泡を手に付けて身体を撫でるのだ。
なんか恥ずかしい…。
「澪…。身体を洗うの上手いね。気持ちいい…。」
「あ、ありがとうございます。」
髪と身体は洗った。一部を除いて…。
「あの…。前とお尻は自分で洗ってもらえませんか?」
「え?何で?洗う行為しちゃダメって言われてるけど?」
「う…。わ、わかりました。あ、洗います。し、失礼します。」
まずは、お尻から洗おう。
立ってもらい、泡を手に付けて筋肉が程よく付いたお尻を撫でる。
そして割れ目に手を這わせて穴に優しく触れて撫でた。
ピクッとネルカさんの身体が揺れる。
平常心。平常心。
変な意味は無いんだから!
そして、座ってもらい、泡を取り、今度は前に泡を置いた。
ゆっくりと陰棒と丸みを撫でて先端まで綺麗に洗う。
ネルカさんは少し息を荒げ、陰棒が硬くなってきている気がして、すぐに手を離し、湯をかけた。
「お、終わりましたので、お湯に浸かって下さい。」
私はネルカさんを湯船に案内して、脱衣所に出た。
恥ずかし過ぎるよぉ。
タオルを持って湯船に行くと、ネルカさんが、お風呂の淵に上がり小刻みに揺れている。
ん?…っ!
右手が激しく揺れている。
「んっ。んっ。はぁ…っ。んっ。」
1人でシテる。
見られたら恥ずかしいよね?
私は音を立てずに脱衣所に戻った。
服を用意しておこう。
しばらくすると、ネルカさんが、またお風呂に浸かっているのが見えたので、私は浴室に戻った。
顔を見るの恥ずかしい…。
見てはいけないものを見てしまった感覚。
色気のある声…。
切なそうな顔…。
思い出してしまうと、ネルカさんの顔が見れない。
平常心…。平常心…。
「ね、ネルカさん。そろそろ上がりますか?」
「うん…。」
私はガウンを羽織ってもらい、脱衣所に案内して、身体を拭いていく。
腰にタオルを巻いてもらい、背中などを拭いていくと、腰辺りが赤くなっている。
「ここ…。赤くなってる…。痛いですか?」
私が触るとピクッとネルカさんが身体を震わせた。
「っ。大丈夫…。ラルゴとの剣術練習の時のかな?」
「後で何か薬を頼んでおきます。」
「ん?あぁ…。頼むね。」
ネルカさんを部屋まで送り、カルファさんに薬をお願いした。
「ありがとう…。では澪さんは、そのまま風呂場に戻って風呂に入って来て下さい。今夜も添い寝、よろしくお願いします。」
「添い寝…。添い寝?どうしてですか?」
「始めにネルカ様から言われたでしょう?」
「う…っ。」
「お待たせしてはいけません。早く入って来なさい。」
「はい…。」
私はお風呂場に戻って来た。
先ほど、ここでネルカさんが、お風呂に入っていたのを思い出す。
そして1人で慰めていた事も…。
私は、なるべくゆっくりと身体を洗い、お風呂に浸かった。
あわよくば寝てしまっていて欲しい。
私は、ゆっくりと服を着た。
昨日とは違うがまた妖艶なドレス…。
部屋に戻ると、ネルカさんは椅子に座り本を読んでいた。
私に気付いたネルカさんが本を本棚に本を戻すと、私の手を引いてベッドに横になり、抱きしめられた。
「温かい…。お前の柔らかさも気持ちいい…。何で…お前はそんなに心地良いんだ?明日は…仮説…立てないと…。」
また昨日と同じでネルカさんは私をギュッと抱きしめて眠ってしまった。
次の日の朝、目が覚めるとネルカさんの腕の力は、ユルユルになっていて腕の中から脱出できた。
ご飯の用意…。
私は服を着替えて、朝ごはんの用意をした。
そして、ネルカさんを起こしにベッドに近づくと、まだ寝ている。
「ネルカさん。朝です。起きて下さい。ネルカ…っ。」
私の手を握り離さなくなってしまった。
「ネルカさんっ!ネルカさん!起きて!」
私がトントンと身体を叩く。
「んー?あれ?何で?こっち…。」
手を引かれてベッドに引きずられて抱きしめられた。
「ちょっと!ヤダッ!離して!ご飯!」
「ご飯…。いい。いらない…。」
「いらないはダメです!早く起きて!」
「んー眠い…。」
また寝てしまいそうなネルカさんを揺らす。
「起きて!ほら!早く!スープが冷めちゃう!」
「わかった…。わか…っ…。すー。」
「もう!ほら!寝てる!」
ペチペチと背中を叩く。
「起きてる…起きてる。」
ようやく目が覚めてきたようだ。
「くわぁ…。うーん。あぁ。おはよう。やっぱり朝が全然違う。」
着替えを手伝い朝食も食べさせる。
今日は一日中、研究室に篭りっぱなしだ。
昼になると、作業を一旦、中止して、昼食を食べる。というか食べさせる。
そしてまた研究室に篭っている。
夕方になり、小屋には鍵をかけて、城に戻る。
そして夕食を取り入浴を済ませて就寝する。
これを毎日繰り返す。