あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
プロローグ
多数の貴族や騎士達が集まった玉座の間には異様な空気が漂っていた。
貴族達は、王の前に出るのにふさわしい装いをしていた。華やかなドレスと宝石で身を飾った淑女達。男性は刺繍の施された礼装に身を包んでいる。
戦闘服ではなく礼服をまとった騎士達は、皆どこか怪我をしていた。彼らの顔に浮かぶのは、王に対する忠誠心ではなく怒りの色。
そして、王座から集まっている人々を見下ろす王の前に引き出されているのは、文官の制服をまとった娘――エルニーナ・ヴァレスク男爵令嬢だった。
やや暗い色合いの金髪を邪魔にならないようきっちりと結った彼女は、二十歳という実年齢よりは年上に見えた。 大きな紫色の目は、恐れることなく国王マクシムを見上げている。
彼女を睨(にら)みつけているマクシムは、王(おう)笏(しゃく)を握っている方の手を振り回した。国王らしい威厳なんて、どこにも感じられない。
「この無能者! お前が! お前が、騎士団の壊滅を招いたのだろう!」
この国は、しばしば魔物の脅威にさらされている。
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