あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 先ほどの青年、前線に出ることになったら、どこまで戦えるのだろう。体格がよくたって、気質が騎士に向いていなければ、戦闘なんてできないだろうに。

(そりゃ、向いているものをやるのが一番いいとは限らないのは私もわかっているけれど!)

 たとえば、弟が向いているのは数学者だが彼が興味を持っているのは音楽だ。
 演奏家としては一流になれないかもしれないが、好きなことをやっている時の彼は生き生きとしている。もしかしたら、演奏家ではなくて音楽を教える人になるかもしれない。
 だから、ステファノの言うこともわからなくはないけれど、向いている職業を本人が希望しているのなら、そのように配属すればいいだろうに。

「まあ、それも近いうちに終わりだ」

 ステファノの顔に浮かぶのは、『厄介払い』という表情だ。以前から、彼の出す人事案に反対することの多いエルニーナを、彼は煙たがっていた。
 できることなら、自分から遠く離れたところに追いやりたいと思っていたのだろう。今の彼の表情からすると、その目論見がうまくいったようだ。

「騎士団の遠征について知っているな?」
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