あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「あなたは、辺境伯様のお側にいて、この冬の帳簿をまとめて。いつもとは違う予算の取り方をしたでしょう」
「あ、ああ……そう、そうね。辺境伯様、失礼いたしました。すぐに仕事を始めます。避難民達にどう対応したかについてもまとめ直しますね」

 ソリンに注意されるまで、まったく頭が回っていなかった。
 たしかに、この冬の特別な行動が王都に疑いを抱かせる原因になったというのなら、この冬の避難民対応についてはとくに厳しく監査させるはず。

「すぐに、資料をご用意いたします。確認していただけますか」
「エルニーナ嬢」

 バタバタと執務室内を動き回って書類を集めようとしていたら、ドラヴェンに声をかけられる。

「気負わずにやってくれ。あなたの仕事に問題はないことは、俺がよく知っている」
「……はい」

 どうして、彼は。
 どうして、彼はこういう時にエルニーナを力づけてくれるのだろう。エルニーナは、彼に何も返すことはできないのに。


 護衛の騎士に守られたステファノが到着したのは、それから二週間後。
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