あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 ハンネスの前に置いたのは、彼の借用書だ。街の金貸しから借金をしているのも調査の過程で判明していた。

「借金の返済のためにゲオルグの言うことを聞いていたのか? 白状しろ。今なら命は助けてやる」
「ひぃっ!」

 ドラヴェンの迫力に負けたらしいハンネスは、身をひるがえして逃げ出そうとした。椅子に座っているドラヴェンが、すぐには立てないと思ったのかもしれない。

「逃がすか!」

 一気に机を飛び越え、ハンネスと扉の間に立ち塞がる。がたがたと震えるハンネスの顔は、完全に青ざめていた。

「……養父上の代から勤めていたお前を信じたいとは思った。だが、これでは言い訳はできないだろ?」
「辺境伯様……違うんです、これは、ゲオルグが」
「なぜ、こんなことをしたかと聞いているんだ」
「本当に、知らないんですよ。俺は……俺は」

 どこから説明すればいいのかわからないらしいハンネスをなだめすかして聞きだせば、倉庫から物資を持ち出したのはハンネスだった。
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