あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 厨房で必要な品々を運び出すのと一緒に持ち出していたらしい。騎士団の厨房ともなれば、持ち出す品は何箱にもなることがある。その時に持ち出していたそうだ。
 本来は二人以上でやる作業だが、しばしばハンネス一人に任されることがあり、その機会をうかがっていたようだ。

(……なんともまあ、お粗末なことだ)

 ゲオルグからは、辺境伯領にもっとたくさんの品を売りたいので、目につかないよう少しずつ持ち出すようにと指示されていたらしい。
 たしかに辺境伯家との取引は多額の金銭が動くが、そんな話を信じていたとは。

「倉庫に火をつけたのもお前だろう……どれだけの損害を与えたと思っている?」
「……大きな取引がしたい、と。脅されたんです、本当です!」

 聞けば借金がかさみ、このままでは命を取られる所まで来ていたらしい。そこでゲオルグの倉庫に火をつけろという話に乗ってしまったそうだ。
 倉庫の物資が燃えれば、ベルグ商会には補充の発注が来る。それに、倉庫ならば人は死なないので大丈夫だ、と。そんなわけ、あるはずもない。

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