あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 顔色を悪くしたゲオルグは深々と頭を下げて応接間を出ていく。
 扉が完全に閉じられるのを待ってから、ドラヴェンは窓辺に歩み寄った。
 ドラヴェン自身矢面に立つことで、ゲオルグの目を、セヴェロとエルニーナから遠ざけられたはずだ。辺境伯の下で働く若い文官程度にしか認識していないだろう。
 それでいい。
 ゲオルグの口から、エルニーナ達の名前は一度も出なかった。証拠を集めたのが誰なのか、ゲオルグは知らないままだ。
 ドラヴェンが自分で調べ、自分で突きつけた――ゲオルグはそう思っただろう。調査に当たった者達にはそれなりに派手に動くようにと言い聞かせておいた。
 とはいえ、困ったことがある。辺境伯領で最大の取引をしていた商人を追放してしまった。早急に新たな商会との取引を結ばねばならない。

(……セヴェロの実家は商会だったな)

 ふと思い出した。
 あの男の実家なら、信頼できる取引先を紹介してもらえるかもしれない。
 それは、エルニーナに聞いてみればいい。人の適性を見抜くのは、彼女の得意分野だ。彼女の目なら信用できる。


 ◇ ◇ ◇



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