氷の旦那さまに愛されて、15歳の私ははじめての恋を知る。
美味しいごはんを食べて、少し落ち着いた夜。
清正様は、私の頭を優しく撫でながら、ふっと愛おしそうに目を細めた。
「小雪、お前は不思議に思っているだろう。なぜ俺が、お前を『最初から欲しかった』と言ったのか」
「はい……。私は何もできないですし、お姉さまの方が完璧で、美しくて、ふさわしいはずなのに……」
私が俯くと、清正様は私の顎を指先でそっと持ち上げ、視線を合わせる。
「深雪など、お前の足元にも及ばない。俺があの家から迎えたかったのは、世界中で小雪、お前だけだ。……お前は覚えていないかもしれないが、俺たちは3年前、一度会っているんだ」
「え……? 3年前……?」
記憶を辿る私に、清正様は静かに語り出した。
「3年前の冬、俺は仕事のトラブルと裏切りに遭い、心身ともにボロボロになって、千歳家の近くの裏路地で行き倒れかけていた。誰もが俺を不気味がり、避けて通る中で……たった一人、ボロボロの上着を着た小さな女の子だけが、俺に駆け寄ってくれたんだ」
「あっ……!」
私の脳裏に、古い記憶がよみがえる。
凍えそうな寒い日、実家から閉め出されて外にいた私は、路地裏で倒れている怪我人を見つけた。
怖かったけれど放っておけなくて、自分のポケットに入っていた唯一の宝物――お小遣いを貯めて買った、あたたかい缶スープをその人の手に握らせたのだ。
『これ、飲んでください……生きてください……』と言い残して、怒られる前に実家へ走って戻った、あの時の……。
「思い出したか? あの時の少女が、お前だ」
清正様は愛おしさが爆発したような目で、私の手を強く握りしめた。
「お前自身も寒さに震え、酷い扱いを受けて傷だらけだったはずなのに、自分のことより見ず知らずの俺の心配をしてくれた。お前がくれたあのスープの温かさと、泥だらけでも星のように綺麗だったその瞳を、俺は一日たりとも忘れたことはない」
清正様の大きな手が、私の頬を包み込む。
「俺はあの時からずっと、お前を探していた。やっと見つけたお前が、あの強欲な千歳家で虐げられていると知った時の俺の怒りが分かるか? だから俺は『誰でもいいから妻を出せ』と罠を仕掛けたんだ。あの家族なら、必ず『いらない娘』であるお前を差し出すと分かっていたからな」
「じゃあ……本当に、私を……?」
「ああ。深雪が完璧だろうが知ったことか。俺の心を救ってくれたのは、世界でただ一人、お前の健気で優しい心だけだ。だから、もう自分を嫌われ者なんて呼ぶな。お前は俺の、命の恩人であり、最愛の妻だ」
清正様は、私の頭を優しく撫でながら、ふっと愛おしそうに目を細めた。
「小雪、お前は不思議に思っているだろう。なぜ俺が、お前を『最初から欲しかった』と言ったのか」
「はい……。私は何もできないですし、お姉さまの方が完璧で、美しくて、ふさわしいはずなのに……」
私が俯くと、清正様は私の顎を指先でそっと持ち上げ、視線を合わせる。
「深雪など、お前の足元にも及ばない。俺があの家から迎えたかったのは、世界中で小雪、お前だけだ。……お前は覚えていないかもしれないが、俺たちは3年前、一度会っているんだ」
「え……? 3年前……?」
記憶を辿る私に、清正様は静かに語り出した。
「3年前の冬、俺は仕事のトラブルと裏切りに遭い、心身ともにボロボロになって、千歳家の近くの裏路地で行き倒れかけていた。誰もが俺を不気味がり、避けて通る中で……たった一人、ボロボロの上着を着た小さな女の子だけが、俺に駆け寄ってくれたんだ」
「あっ……!」
私の脳裏に、古い記憶がよみがえる。
凍えそうな寒い日、実家から閉め出されて外にいた私は、路地裏で倒れている怪我人を見つけた。
怖かったけれど放っておけなくて、自分のポケットに入っていた唯一の宝物――お小遣いを貯めて買った、あたたかい缶スープをその人の手に握らせたのだ。
『これ、飲んでください……生きてください……』と言い残して、怒られる前に実家へ走って戻った、あの時の……。
「思い出したか? あの時の少女が、お前だ」
清正様は愛おしさが爆発したような目で、私の手を強く握りしめた。
「お前自身も寒さに震え、酷い扱いを受けて傷だらけだったはずなのに、自分のことより見ず知らずの俺の心配をしてくれた。お前がくれたあのスープの温かさと、泥だらけでも星のように綺麗だったその瞳を、俺は一日たりとも忘れたことはない」
清正様の大きな手が、私の頬を包み込む。
「俺はあの時からずっと、お前を探していた。やっと見つけたお前が、あの強欲な千歳家で虐げられていると知った時の俺の怒りが分かるか? だから俺は『誰でもいいから妻を出せ』と罠を仕掛けたんだ。あの家族なら、必ず『いらない娘』であるお前を差し出すと分かっていたからな」
「じゃあ……本当に、私を……?」
「ああ。深雪が完璧だろうが知ったことか。俺の心を救ってくれたのは、世界でただ一人、お前の健気で優しい心だけだ。だから、もう自分を嫌われ者なんて呼ぶな。お前は俺の、命の恩人であり、最愛の妻だ」