Hidden love.
「大樹は結婚に関してはどうなのよ? 前向き? ていうか、周り放っとかないんじゃない?」

「そんなこともないけど、親とか周りには結構言われるかな。そろそろみたいな話。うちの両親さ、兄貴の結婚とか諦めてたから、孫の希望は俺に託されたとか言ってきてたんだよ。失礼だよな」

「お兄さん、彼女いるんでしょ? 結婚しないの?」

「あー…、違う。ごめん、ちょっと順番おかしくなったけど、今の彼女が出来る前まで、うちの兄貴は誰とも付き合う気なくて。それもまた浮気…って、俺の周り浮気されすぎじゃない? 自分が疫病神なんじゃないかって思えてきた」


 大樹はそう言いながら自分で震えていた。なかなかその手の話に何度も遭遇するのも不憫だなと思う。


「男は浮気する生き物とか、言うじゃない? でも実際、こんなに浮気の話聞くのって絶対に男性だけのせいじゃないわよね」

「そもそも浮気の定義も人によってバラバラだし、よくわかんないよな。とにかく俺はそう言う話とは無縁に生きたいね」

「私だってそう思ってるわよ」

「だから俺にしとけばいいじゃん」

「暇あれば口説こうとするな」


 そうツッコんだ後、溜息を吐いては、またビールを流し込んだ。

 大樹と話している時間は不思議と気が紛れている。今この瞬間だけはショックとか、そんなのはない。今頃本当は一人でやけ酒をしているはずだったのに、今夜この場に大樹がいてくれたおかげで、まだ冷静だ。
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