Hidden love.
 そのまま私達は二軒目、三軒目と、深夜三時くらいまで飲み歩いた。空いている店は、探せばある。あるけれど、堂々と開店して、今からこんな酔っ払い二人を受け入れてくれる店なんてない。

 久しぶりにこんな気持ちのいい酔い方が出来た。今夜は何も考えず眠れそう。


「始発まで、まだ結構あるけどどうする?」


 アルコールの匂いを漂わせながら、私の肩を組んで、顔を覗き込んでくる。

 
「そんなもん、いい歳こいた大人よ? 私達。なんならお一人様なんだからお金だってある。ホテル取るなり、タクシーで帰るなり出来るでしょ」

「帰す、って選択肢はないな」

「じゃあ、どうすんのよ?」

「朝まで一緒にいたい」


 耳元で不意に聞こえた、甘く囁く声。それでいて程のいい低音。
 その声で背中にぞくりと快感が走り、喉奥で唾を思わず飲み込んだ。

 最近異性と触れ合うこともなかった。航平がいたといっても冷め切った関係だったし。大体、私達はフリーでいい年した年齢なわけだし、こんなことがあってもおかしくない。

 アルコールの力は恐ろしいもので、普段の理性も無くすほどに判断力を鈍らせていく。

 後は、純粋にこんな風にまっすぐ求めてくる大樹を見て、いいかも、と思ってしまった。

 これも全部ぜんぶ、アルコールのせいにしてしまえばいい。


「一夜限りなら、悪くないのかもね」

「お互い、一夜で済めばいいけど」


 お互い合意の上。割り切り。それが大人の関係。
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