Hidden love.
大樹は私が落ち着くまで離れずに、ずっとそばにいてくれていた。彼の前で声を上げて泣いてしまったことに、だんだんと羞恥心が沸き上がり、そっと胸元を押して離す。

 大樹はその手を掴んで、優しく包み込むようにして握った。


「ごめん。こんな…」

「謝るなよ」


 彼は少し笑うと、私の手を引いてソファに座らせる。


「なあ、そろそろ本音でもっと話せよ。他人の幸せとか、そんなんどうでもいいだろ。自分のために我儘になって言えばいい。誰もそんな清花を責めないよ」

「でも…」

「清花」


 名前を呼ばれ、口を噤む。

 自分勝手に、なんて、本当にそんな風に生きていいのだろうか。全員が全員そんな風に動いてしまえば、収拾もつかなくなる。誰かは引いて、平穏な生活になるのを見送っていかなければならない。

 でも、本当はあんなくそ男を地獄に叩き落してやりたい。強い憎しみと、決意をもって大樹の方を見る。


「地獄に叩き落したい。泣き寝入りなんて、絶対にしたくない…!」


 そう言い切ると、大樹は少し微笑むと、「待ってた。その言葉」と私の頭を撫でる。子供みたいな扱いをされ、少し恥ずかしさはあるけれど、その手を払えなかった。

 嫌じゃなかったから。そんな大樹の手も、優しさも。
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