Hidden love.
Episode3
 それから金曜日、退勤時間が過ぎ、オフィスを出て、いつも通りエレベーターに向かおうとすると、見慣れた人物が壁に寄りかかり、腕を組んでいた。

 あまりにも自然にそこにいるものだから一度は見逃した。そこでふと違和感に気付き、もう一度そこにいる相手の方を見た。


「…何してんのよ、あんた」

「そろそろ終わるかなと思って迎えに来た。一緒に帰れる?」

「自然にそこにいるから観葉植物かと思った」

「なんだそれ」


 そんな会話をしながら、エレベーターに向かい、車がある駐車場へと向かう。

 周りからの注目を浴びていて、少し気まずい。こんなに目立つのはあまり好きではないのだけれど、自分で決めたことだ。致し方ない。

 大樹は隣を歩きながら、こちらに目をやる。


「いろいろ話したいことがあるから、今日はどっちかの家とかで一緒に過ごしたいんだけど、俺の家でもいい?」

「いいけど、話したいことって?」

「ここじゃ落ち着いて話せないから後でな」

「わかった」


 大樹の言葉に大人しく従い、駐車場に着くと助手席に座る。別に最近は二人きりの空間が珍しいことでもないから、そろそろ慣れてきたつもりだったけれど、未だに少し緊張する。

 大樹は気にすることもなく、慣れた手つきでハンドルを握り安全に運転をしている。

 あれから交際関係の様な、そうじゃない様な曖昧な関係になった後でも、大樹の態度は変わらない。むしろあの日の話なんて嘘だったのではないかと疑いたくなるほど普通。
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