Hidden love.
 家に到着すると、広く綺麗な部屋だった。物は少なく、まだ引っ越してきたばかりという感じで、それでもこの部屋から眺める景色は綺麗だった。


「そういえば私も聞きたいことがあったんだった」

「何?」

「何でうちの会社を吸収なんかしたのよ? 中小企業で、特にメリットもなかったでしょう」

「目的はあったけど、本当に聞きたい?」


 含みのある言い方に首を傾げる。


「どういう意味よ?」

「元々、ここの社長が父さんの知り合いで経営に困っていて、俺の本社を大きくする意味合いでも、タイミングが良かったって言うのはあるかな。だけど、一番はやっぱり清花だったと思う」

「私? 何でよ?」

「あの日の居酒屋での再会は偶然だったけどさ、その会社に清花がいるって聞いて、この関わり方なら逃げられないかな、避けられないかなとか、いろいろ考えてさ」


 それを聞いて目を見開いた。

 この男、やばい男でしょう。その他に理由はいろいろあったかもしれないけれど、いくら好きな女性がいたからって会社を吸収してしまうなんて。

 私が若干引いた目で大樹を見ていると、苦笑いしていた。


「分かってるよ。おかしい事してるって。でも、この十二年、清花のことを忘れたことも、頭に浮かばなかったこともなかった。ずっとずっと会いたくて、もう一回清花との関わりが欲しかった」


 その言葉を聞いた時に、酷いことをしたな、と改めて思った。一方的に突き放して、大樹の話を聞かなかった。

 あの未熟さは、完全に若さのせいだったと思う。あの時は思い込みも激しくて、何事も物事をすぐに解決したがって、自分の意見だけを通してきていたと思う。
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