Hidden love.
「それでこれからの話なんだけど、一年って期限付きだから、親にはまだ結婚の話はしないつもり。理由も理由で、清花もきまずいだろうし」

「まあ、それはそうだけど…」

「それとここで一緒に住む事になると思うんだけど、生活費と清花の今の家賃とか生活費は俺が出す」

「え!? いやいや、私も出すけど!」

「まあいいから、いいから」


 何もよくはないけれど、ひとまず話を聞く。


「で、ここに結婚指輪と婚姻届は準備してますと」

「…怖いくらいに用意周到ね」

「頼りになるって言ってくれる?」


 私の怯えている様子に、大樹はにっこりと笑みを見せ、言った。


「それと、もう一つは全く別の提案があるんだけど」

「何?」

「結婚は先延ばしにして、あいつを訴えない?」

「え?」


 予想もしていない提案だった。訴える、ということを全く考えなかったわけではないけれど、大樹と出会ってから、その考えは除外していたから。

 誰も傷つかない復讐、というところにこだわり、大樹との結婚を選んでいたから、彼の提案は少し予想外で、懸念点を再度深く考えなければならない事だった。


「…どうして?」

「清花が最後に幸せになるのは大前提だけど、ああいう人間は持っているものを失わないと学習しない。全部奪った上で、清花は幸せになる」

「…でも、それじゃ檜山さんは…」

「あんな男との結婚なんて、止めてやった方が幸せだと思わない?」


 大樹の言うことにも確かに一理ある。だけど、本当に正しいことなのか。前に踏み出せない。
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