Hidden love.
翌日、昼頃に家に仕方なく戻ってくると、荷物はすでになかった。彼がいた痕跡は、いらない物がそのままになっていることと、テーブルの上の合鍵。それを見て、涙をようやく零した。本当に、何も残っていないのだと、こんなところで実感が来て、その場に崩れ落ちる。
今思えば、あんな最低な男だ。モラハラ気質だってあったと思う。それでも、好きだったのだ。初めて告白された時は、遊び人に揶揄われているだけだと信じなかったけれど、彼は何度断っても好きだと言ってくれた。素直になれない私を理解して、唯一傍にいてくれる人。そう思っていた。
航平の研修期間に、私が指導係としてついた。色々な部署を回り、適性を知るというもので、私と航平には二週間ほど関わりがあった。それから会う度に話しかけてくれるような、人懐っこい人柄で、次第に航平から何度も告白されるようになり、最初は何度か断っていたが、あまりにも押されすぎて、どんどん惹かれていったのが、四年前。
そんなことを思い出すと、また涙が溢れ出す。乱雑に袖でそれを拭い、立ち上がる。そのままスマートフォンを取り出すと、澤山 航平の連絡先を消し、画面を閉じた。LINEだって、繋がっていたSNS関連は全てブロックする。
もう関わるべきじゃない。そう思っていたのに…。
⋆ ˖ ⏱︎.ᐟ
週明け、出勤した私の耳に入ったのは信じられない言葉だった。
「澤山さん、結婚するらしいよ」
「へぇ。やっぱり椿《つばき》さんと?」
「いや、檜山さんだって」
「檜山さん!? 何で!?」
「本人がそう言ってた」
勤務開始前にそんな噂をトイレで聞いてしまった。
結婚…? どうして?
椿は、私の苗字。結婚と聞けば、私と? と想像されるくらいには長い付き合いだった。周りも騒然としている。突如出てきた、航平と檜山さんの交際関係に。
今思えば、あんな最低な男だ。モラハラ気質だってあったと思う。それでも、好きだったのだ。初めて告白された時は、遊び人に揶揄われているだけだと信じなかったけれど、彼は何度断っても好きだと言ってくれた。素直になれない私を理解して、唯一傍にいてくれる人。そう思っていた。
航平の研修期間に、私が指導係としてついた。色々な部署を回り、適性を知るというもので、私と航平には二週間ほど関わりがあった。それから会う度に話しかけてくれるような、人懐っこい人柄で、次第に航平から何度も告白されるようになり、最初は何度か断っていたが、あまりにも押されすぎて、どんどん惹かれていったのが、四年前。
そんなことを思い出すと、また涙が溢れ出す。乱雑に袖でそれを拭い、立ち上がる。そのままスマートフォンを取り出すと、澤山 航平の連絡先を消し、画面を閉じた。LINEだって、繋がっていたSNS関連は全てブロックする。
もう関わるべきじゃない。そう思っていたのに…。
⋆ ˖ ⏱︎.ᐟ
週明け、出勤した私の耳に入ったのは信じられない言葉だった。
「澤山さん、結婚するらしいよ」
「へぇ。やっぱり椿《つばき》さんと?」
「いや、檜山さんだって」
「檜山さん!? 何で!?」
「本人がそう言ってた」
勤務開始前にそんな噂をトイレで聞いてしまった。
結婚…? どうして?
椿は、私の苗字。結婚と聞けば、私と? と想像されるくらいには長い付き合いだった。周りも騒然としている。突如出てきた、航平と檜山さんの交際関係に。