Hidden love.
「まあ、まだはっきり交際してるってことを言ってないのが、不幸中の幸いかな。まだ何とでも言える」

「大丈夫、ですかね?」

「親しい仲であったことはバレていても、ひとまず、何も聞いていなかったし、結婚の話は大樹からのアピールだったと言い切ってください。念の為、人事部長とかを話し合いに呼び出しておくと、公平な話し合いとして、場が成立するでしょうね」

「人事部長…。あの、人事部長にはどこまで話して入ってもらうべきですか?」

「正直に言っていいと思います。社員間で婚約破棄のトラブルがあって、裁判沙汰にすれば、会社の信用にも関わる。和解条件として、人事のことも関するので、話し合いに入っていただきたい、と。証拠はその場で初めて、提示するという形でいいかと思います」

「なるほど」


 桐生さんの説明を聞きながら、当日はどう話し合うべきなのかを考えていた。

 恐らく今回は、裁判を起こすか、和解条件として支社への異動を求めるか、になるかと思う。

 この後も、当日の話し合いで、自分の希望を確かなものにするために、かなりの時間を使って桐生さんと大樹と話し込んだ。

 まだ、何も始まっていないのに、誰かと戦うということが、こんなにも気力を使うものなのだと、初めて知った。
< 47 / 94 >

この作品をシェア

pagetop