Hidden love.
「つまり、椿さんの主張としては、婚約中に二股を掛けられていた。精神的なショックで裁判を、と考えているのかな?」


 人事部長の言葉に頷き話を続ける。


「聞いていただいた通り、私達は親への挨拶も済んでいましたし、婚約指輪も私の手元にあります。会社には報告しておりませんでしたが、それは時期が未確定だったので、確定してから会社に報告しようという話でした」

「澤山、ここまでで相違は?」

「…ありません」


 録音がある以上言い逃れは出来ないと思ったのか、静かな声で認めている。相も変わらずその声に罪悪感は感じられない。

 開き直ったような態度は当然気に食わなかったが、私は首を横に振り、話を続ける。


「それに合わせ、録音の中に、可愛げがないとか、抱けないだとか侮辱的発言が含まれておりますので、精神的苦痛も合わせ、裁判所で三百万の慰謝料を請求するつもりです」

「お前…!」

「ただし、和解条件もありますが、聞きますか?」


 敬語で航平の方に問いかけると、彼は少し焦ったような表情と、怒りで眉を顰めてこちらを見ている。

 私は冷めた表情で見つめ返していると、プライドがまだあるのか、悩んだような追い詰められたような表情をしていた。
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