Hidden love.
「…大樹」

「ん?」

「ありがとう。こんな私を、好きでいてくれて」


 私の言葉に何も反応しなかった。

 私も大樹の表情を見るのが照れくさくて、とてもじゃないけど彼の方を見られなかった。

 彼は運転中でこちらを見てはいなかったと思う。視線も、感じなかったから。

 彼は少し間を開けて「…うん」とだけ、たったそれだけ、柔らかく答えてくれた。今の私達にはそれで十分だった。


「清花」

「ん?」

「やっぱり近い内、ご挨拶に行ってもいいかな」

「え?」

「…たった一年の期間を設けていたとしても、こういうのはきちんと筋を通したい」


 親への挨拶。特に何も問題ない。だけど、私達の状況を考えて、挨拶はまだ控えておこうと話し合っていたけれど、確かに隠しておくことに罪悪感を感じる。

 それにそこまできちんと向き合おうとしてくれている大樹の気持ちが、誠実さが、嬉しかった。


「…わかった。大樹の方にも挨拶は行こう」

「…うん。一時期でも朝倉の名前になるわけだし、不安はない?」

「そりゃ、いろいろあるわよ。こんな短期間で結婚なんて初めてだし」

「そりゃそうだよな。俺も」

「でも、楽しみでもある」


 大樹は少し目を見開いた後に微笑み、「……うん」と柔らかく答えた。

 彼を幸せにしたい。彼に幸せにしてもらいたい。

 だから、私は彼と結婚する。
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