Hidden love.
「何その可愛い声。てか、早く答えてよ。一緒に寝るのが嫌なのかどうか」


 耳元でそう囁きながらシャツの裾から手を滑りこませようとしてくる。その手を掴み「調子に乗んな」と低く言うと、大樹はしょげた子犬のように耳を落とし「はい」と返事をし、離れていた。

 一緒に寝るのが嫌なわけではない。ただただ照れくさい。

 相も変わらず私はこういう所で素直になるのが下手だ。拒否をしているわけでもないけれど、こんなのじゃ拒否をしているように見られて当然だ。


「…わかるでしょ。私が素直じゃないのも…」


 声に思わず不安が出てしまっていたと思う。恐る恐るそう問いかけると、大樹は少しこちらに目をやった後、すぐに微笑み「愛おしいよ、そんなところも」というと、また荷物を取りに行ってしまった。

 その優しい声と表情に、思わず胸が高鳴り、両手で頬を抑える。

 好きだから、もっと近寄りたい。この気持ちを彼に伝えたい。そんな気持ちはあるけれど、どうしても羞恥心と照れくささが勝つ。

 そして彼はそんな私を理解してくれていて、愛おしいと言ってくれた。いつまで経っても、彼には敵わない。
< 64 / 94 >

この作品をシェア

pagetop