Hidden love.
「…馬鹿だな、本当に」

「わかってるわよ。ごめん」

「馬鹿だけど、本当にどこまでも愛おしいな。不器用で、俺のことが好きで仕方なかったんだなって思える」


 そう笑いながら話す大樹に、唖然とした後、思わず笑がこぼれた。

 こういう人だった。無駄に自信たっぷりで、でも私のことをわかってくれている人。


「そうね。好きだったし、今も好き」


 素直にそう言葉を零すと、大樹は目を見開く。

 言ったことはなかった。彼に好きだなんて、この歳になってから。

 気持ちを誤魔化すことや隠すことに慣れていたし、それが当たり前になっていて、照れくさかったけれど、彼の前ではほんの少しでも素直になりたい。

 いつだって彼は、好きだと愛を伝えてくれるから。それがどんなに幸せで嬉しいか、彼にも同じ感情になってもらいたい。


「…大人になってから、初めて聞いた」

「初めて言った。照れくさいものね。何歳になっても好きだなんて」

「なあ、もっかい言って」

「嫌よ、バカ」

「何で、素直になれよ」

「もう勘弁して」


 圧の強い大樹に少し笑って、グラスに入った水を口元に運ぶ。

 照れくさいし、恥ずかしいけれど、自分の気持ちが彼に伝わるのは嬉しい。私の気持ちに対して、彼が応えてくれることも。

 恋をするのがこんなに楽しいものだと言うのも、久しく忘れていた。

 最近は、恋すらも必死だった。楽しむ余裕なんてなかったから。
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