Hidden love.
 週末、私と大樹は家で過ごしていた。

 最近はバタついていて、掃除もまともにできていなかったから、フローリングをクイックルワイパーで拭きながら鼻歌を歌っている。


「毎日ルンバに走り回らせてるから、そんな汚くねぇと思うけど」

「信用してないのよ。そのルンバだか、ずんだだか、サンバだか知らないけど」

「ずんだとサンバはなんなんだよ」

「あ、仙台行きたい」

「話飛びすぎだよ」


 私は変わらず鼻歌を歌いながら、ソファの前を通ろうとすると急に腰を抱き寄せられ、膝の上に座らせられる。


「わっ」

「清花さん? 話したいことがあるんですけども」

「なんですか」

「ご挨拶はいつ頃にする? っていうのと、籍はいつ入れる?」


 そう問われ、「あー…」と声を漏らした。確かにまだ具体的な日程などは決まっていない。航平のこと、熱《ほとぼり》が冷めたら、なんて言ったまま、何も決まってはいなかった。


「結婚指輪も選んでないし、そのうち結婚式とかもしたいし」

「え? するの?」

「結婚式は憧れって学生時代から言ってなかった?」

「言ってた、けど…」


 そんな昔からの話を覚えていたとは思わなかった。本当に軽く話しただけのことを、本気に捉えて、その夢を叶えようとしてくれていただなんて。
< 69 / 94 >

この作品をシェア

pagetop