Hidden love.
Episode7
 うちの両親への挨拶当日。

 大樹に緊張している様子はなかったけれど、いつもよりそわそわはしていた。


「なあ、どっちのスーツがいいかな?」

「ネイビーの方じゃない?」

「ネクタイは? こっち? それともこっち?」

「こっち」

「靴下は…」

「落ち着け。いつも通りでいい」

「はい」


 スーツにキャラクター物の靴下でも履いていかない限り、何か思うほうでもない。そんなところ、うちの両親は重視しないからだ。

 そわそわと落ち着かない大樹に少し笑って、私も準備を進めていた。来週には大樹の方のご実家に挨拶を行く予定だから、逆の立場になるかもしれない。

 両親には大樹を連れていく話はしてある。当然驚いてはいたし、何故? と困惑している様子もあった。

 当然のことだと思う。今まで何も関わりがなかった大樹の名前が急に上がって、それも結婚したいと考えているなんて言われたら。

 当然、連絡を取り合った時には、航平とのことはもう大丈夫なのかなどは聞かれた。

 それに対し、大丈夫だと答えると、それ以上の言及はされなかった。

 変わらず、不安はないけれど、罪悪感だけはずっと残っている。心配をかけてしまったなという。

 今日は少しでも、もう心配することはないと伝えたい。
< 74 / 94 >

この作品をシェア

pagetop