Hidden love.
 我が家に着くと、異様な空気感が漂っていた。

 大樹は落ち着いた様子でうちの両親に対峙しており、なぜかうちの両親の方が緊張しているように見える。

 大樹が買ってくれたケーキと、我が家が出したコーヒーは目の前にあるが、誰も手をつけようとしない。


「あの、お気に召さなかったでしょうか?」

「いや! 滅相もない!」

「滅相もない?」


 うちの父も緊張しすぎて返答が変だ。大樹は苦笑いしながらも、場を和ませようと口元には緩やかな笑みを浮かべている。


「いや…、まさかあの大樹くんが社長さんになっていて、それがまさか清花の会社の社長になるなんて思ってもいなかったものだから…。私としては娘がお世話になっている上司として見るべきか、頼もしい婚約者として見るべきか…」

「全然、ただの男だと思って見てください。社長なんて、肩書きだけで、俺は何もすごい人間とか、立派とか、そんなのはないですから」

「謙虚だね。相変わらず」


 うちの父は少し笑い、すぐにその場は和んだ。相変わらず大樹の尊敬するところ。周りの雰囲気をぱっと明るくしてしまう。

 私には絶対にこんなふうに出来ないから。
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