Hidden love.
 まだ、ここは会社。泣くわけにも、絶望に打ちひしがれる訳にも行かない。今の私にはやることがある。

 自分をそう奮い立たせ、首を横に振ると深く深呼吸をした。ただの強がり、高いプライドで今の自分を保っているから、酷く脆い。そんなのも分かっている。

 だけど、あんな男の目に届くところで、弱さを見せる訳には行かなかった。今の私がすることは、現状確認。事によっては、ただじゃおかない、あの男。

 この時までは、そう復讐に燃えていたのだけど……。





⏱ ̖́





「え…、別れたって、ずっと聞いてました…」

「別れた?」


 帰り際、失礼を承知で檜山さんを捕まえ、外で話をすると、彼女からそんな言葉が来た。航平は檜山さんに私とは別れた、と説明していたのだ。

 まさか二人とも、半年も浮気に気付かなかったなんて想像もしていなかった。私が心に余裕がなかったのもある。正直、浮気とか疑う余裕もなかった。それでもあまりにも、自分の鈍さに頭を抱えた。


「…私、振られたの昨日なのよ? 四回目の記念日を祝う場で、突然別れようって言われて。それも結婚なんて聞かなかった。好きな人が出来たからって…」

「……本当に、昨日だったんですか? 航平くんのこと、悪く言ってませんか? 振られて、別の人と結婚することにムカついて」

「待ってよ…。そんなことすることに何のメリットが…」

「航平くんの結婚が台無しになればいいって、そう思ったんですよね!? 私が向き合ってきた航平くんはそんな人じゃ…」


 彼女も気が動転している。その様子に、私は同情した。
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