Hidden love.
 航平の幸せは壊れても構わない。だけど、巻き込んだこの人に現実を突き付けるのが、果たして正義なのか。

 何も関係の無いこの人の幸せを壊そうとしている私の方が非情な行動をしているのではないか。航平も、私の時とは違って、彼女のことなら大事にするのかもしれない。

 そう思ったら、スマートフォンの中の録音を聞かせることも出来ず、何も言い返せなくなった。


「……そういう、つもりじゃなかった。でも、そう見えるわね。ごめんね」

「…私まで、気が動転して…。ごめんなさい」

「航平を信じると言うなら、何も言わない。これから結婚する人だもの。大事よね」


 そう苦笑いすると、檜山さんは軽く頭を下げる。その日はそこで別れ、私は何もしない選択をした。

 本当はすごく悔しい。地獄に叩き落としてやりたい。

 そう思っているのに、そいつを地獄に叩き落とせば、その周りにいる人も不幸にしてしまう。

 離れていく檜山さんの背を見送りながら、深く溜息を吐き出した。
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