Hidden love.
 牧師からの聖書朗読・祈祷があり、私達はその間軽く頭を下げ、静かに聞く。キリスト教式のやり方で、愛についての教えなどをこのやり方で説かれる。


「それゆえ、人は父と母を離れ、その妻と結ばれ、二人は一体となる。もはや二人ではなく、一体なのです。それゆえ、神が結び合わせてくださったものを、人が離してはなりません」


 二人が出会い、一つになることの尊さを説く一説である。他の人に離されるってどんな時? 不倫? それとも家庭の事情? 仕事? 私にはわからないけれど、そんなこと起きなければいいと考えていた。

 至って普通に平和で、そんな当たり前になる毎日。

 聖書の一説を読むと、私達は顔を上げ、牧師の言葉を聞いていた。


「お二人は今日まで、別々の人生を歩んできました。しかしこれからは、喜びは二倍に、悲しみや苦しみは半分に分かち合う人生が始まります。どちらか一方が我慢するのではなく、二人で新しい一つの家庭を築き上げていってください」


 違う考えの二人が生活を共にすることは簡単じゃない。理解はしているけれど、身に起きていないからきっと思っている以上の苦労をする。話し合い、なんて出来ないくらい、感情に左右される日も来るかもしれない。

 それでも、私はその牧師の言葉を心の内側にしまい込むように、大樹と二人、「はい」と返事をした。

 そこからは私達がよくドラマでも見ていたような流れだ。


「新郎 大樹さん、あなたはここにいる清花さんを病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命のある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」

「はい、誓います」


 大樹の迷いのない返答に温かくなった。相変わらず、まっすぐな人。

 牧師は頷くと、私の方に視線をやる。


「新婦 清花さん、あなたはここにいる大樹さんを病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命のある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」


 この言葉について考えは足りないのかもしれない。理屈だけじゃ太刀打ちできないようなことを起こるかもしれない。だけど、私はどんなことがあっても、この人の隣にいることを迷いなく誓う。


「はい、誓います」


 神に誓うんじゃない。大樹自身に。
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