レディ・マーメイド
「小早川さん、今日はありがとう。おもてなしの心も嬉しかった」
食事が終わり、エントランスに向かいながら和田が改めて樹莉に笑いかける。
「こちらこそ。ご足労いただきありがとうございました」
ロータリーの車の前で向かい合うと、和田はふと神妙な面持ちになる。
「君が無事でいてくれて、本当によかった。もしも金盛達が君にケガを負わせていたら、私はどんなに謝っても償い切れなかった」
そんな、と樹莉は言葉を詰まらせる。
「和田社長、どうぞこれ以上はご心配なさらず。このお話は今日限りになさってください」
「そうか、そうだな。君に辛いことを思い出させる訳にもいかない。わかった、もうこの話は終わりにしよう」
はい、と樹莉は微笑む。
すると和田は、今度は真剣にじっと樹莉を見つめた。
「小早川さん」
「はい」
「私を……君のそばにいさせてもらえないだろうか」
え?と樹莉は言葉を失う。
「私に、君を守らせてほしい」
「いえ、あの。もう私に危険は及びませんから」
「そうではなくて」
和田は一度視線を落とすと、思い切ったように再び顔を上げた。
「私とおつき合いしてほしい」
樹莉は驚いて目を見開く。
「君の笑顔に惹かれたんだ。明るくて優しくて、仕事にもしっかりとポリシーを持っている芯の強さも。亜紋くんと恋人同士なのかと思っていたけど、そうでないとわかったら想いが込み上げてきた。君と私とでは年齢も離れている。だけど諦めたくはないんだ。小早川さん、私と結婚を前提にしたおつき合いを、どうか考えてみてほしい」
今日のところはこれで、と言って和田は車に乗り込む。
お辞儀をして見送ったあとも、樹莉はしばし呆然と立ち尽くしていた。
食事が終わり、エントランスに向かいながら和田が改めて樹莉に笑いかける。
「こちらこそ。ご足労いただきありがとうございました」
ロータリーの車の前で向かい合うと、和田はふと神妙な面持ちになる。
「君が無事でいてくれて、本当によかった。もしも金盛達が君にケガを負わせていたら、私はどんなに謝っても償い切れなかった」
そんな、と樹莉は言葉を詰まらせる。
「和田社長、どうぞこれ以上はご心配なさらず。このお話は今日限りになさってください」
「そうか、そうだな。君に辛いことを思い出させる訳にもいかない。わかった、もうこの話は終わりにしよう」
はい、と樹莉は微笑む。
すると和田は、今度は真剣にじっと樹莉を見つめた。
「小早川さん」
「はい」
「私を……君のそばにいさせてもらえないだろうか」
え?と樹莉は言葉を失う。
「私に、君を守らせてほしい」
「いえ、あの。もう私に危険は及びませんから」
「そうではなくて」
和田は一度視線を落とすと、思い切ったように再び顔を上げた。
「私とおつき合いしてほしい」
樹莉は驚いて目を見開く。
「君の笑顔に惹かれたんだ。明るくて優しくて、仕事にもしっかりとポリシーを持っている芯の強さも。亜紋くんと恋人同士なのかと思っていたけど、そうでないとわかったら想いが込み上げてきた。君と私とでは年齢も離れている。だけど諦めたくはないんだ。小早川さん、私と結婚を前提にしたおつき合いを、どうか考えてみてほしい」
今日のところはこれで、と言って和田は車に乗り込む。
お辞儀をして見送ったあとも、樹莉はしばし呆然と立ち尽くしていた。