失恋した夜、三白眼のエリート海上自衛官に恋しました
しばらくは仕事の話をした。
お互いの仕事の内容をざっくりと話したり、大変なことや、やりがいなど。
仲間たちとの面白いエピソードなんかも聞いたりした。
合コンの時は周囲が騒がしくて聞けなかった個人的な話も、今日はゆっくり聞ける。
「久瀬さんって、意外と面白いですよね。もっと真面目で堅苦しい人かと思ってました」
思わず本音が漏れた。
「よく言われる」
「やっぱり」
私がそう言うと、久瀬さんは目を細めて笑う。
出会った時の第一印象は、堅物なイメージ。
けれど今は違う。
「今は思ってませんよ」
「そうか」
それだけ言ってコーヒーを飲む。
カップを持つ関節の太い指。手の甲に浮かぶ血管。喉仏がゆっくり上下する。
また見てしまった。
「朝倉さん」
「はいっ」
「今日は一段と返事がいいな」
口元が僅かに緩む。
からかわれている。
話しているうちに、すっかり緊張はほぐれていて、気づけばリラックスして会話していたように思う。
久瀬さんは思ったよりよく笑う。
そして、話を聞くのが上手い。私もつい、いろいろ話してしまう。
元カレのことを気になる男性に話すのは良くないとは思うけれど、久瀬さんに話してしまいたくなるのだ。