失恋した夜、三白眼のエリート海上自衛官に恋しました
「え……?」
「そのまま下がったら海だ。落ちる」
ビクッ、と心臓が跳ねた。
「すみませんっ」
私は反射的に防波堤から降りて、そのまま力が抜けたように自分よりも背の高い防波堤に寄りかかる。
「謝るな」
彼は短く言った。
そして、コンビニの袋を私に差し出す。
「飲むか? ランニング帰りに買った適当なやつだが」
中には缶コーヒーが二本入っていた。
私は怪しむように彼の手元を見る。
「すまん。知らない男から貰うものは口にできないよな」
「当たり前です」
「悪かった」
硬派な印象の彼の口元が少しだけ緩む。
意外な笑みだった。
ほんの一瞬の僅かな変化。
それが私の脳に強く焼きつくように刻まれた表情。
三白眼の鋭さが和らいだその表情に、惹かれていた。
そして彼は近くに寄ってきて、私と同じように防波堤に寄りかかる。
「……」
彼は何も言わず、聞きもしない。
なぜ泣いているのか、何があったのか。誰だって知りたくなるようなことを、何も探ろうとしない。
ただくっきりと輝く星と月を見ているようだ。
その沈黙が、不思議と心地良かった。
「別れようって、彼氏に……いや、元カレか。言われたんです」
ぽつりと私は呟くように小さな声で打ち明けた。
乾いた涙がまたぶり返しそうになるのを必死に抑える。
「そうか。そんな気がしたが」
「そんなにわかりやすいですか」
「かなり」
「最悪ですね」
「俺が?」
「はい」
「ははは、なんとでも言ってくれ。それで気が済むなら」
ひどい。ひどいのに。
失恋だと一発で言い当てた挙句、わかりやすいだなんて言うなんて。
それなのに、なぜだか少しだけ笑えた。
彼はそんな私を横目で見ながら、そっと囁いた。
「そのまま下がったら海だ。落ちる」
ビクッ、と心臓が跳ねた。
「すみませんっ」
私は反射的に防波堤から降りて、そのまま力が抜けたように自分よりも背の高い防波堤に寄りかかる。
「謝るな」
彼は短く言った。
そして、コンビニの袋を私に差し出す。
「飲むか? ランニング帰りに買った適当なやつだが」
中には缶コーヒーが二本入っていた。
私は怪しむように彼の手元を見る。
「すまん。知らない男から貰うものは口にできないよな」
「当たり前です」
「悪かった」
硬派な印象の彼の口元が少しだけ緩む。
意外な笑みだった。
ほんの一瞬の僅かな変化。
それが私の脳に強く焼きつくように刻まれた表情。
三白眼の鋭さが和らいだその表情に、惹かれていた。
そして彼は近くに寄ってきて、私と同じように防波堤に寄りかかる。
「……」
彼は何も言わず、聞きもしない。
なぜ泣いているのか、何があったのか。誰だって知りたくなるようなことを、何も探ろうとしない。
ただくっきりと輝く星と月を見ているようだ。
その沈黙が、不思議と心地良かった。
「別れようって、彼氏に……いや、元カレか。言われたんです」
ぽつりと私は呟くように小さな声で打ち明けた。
乾いた涙がまたぶり返しそうになるのを必死に抑える。
「そうか。そんな気がしたが」
「そんなにわかりやすいですか」
「かなり」
「最悪ですね」
「俺が?」
「はい」
「ははは、なんとでも言ってくれ。それで気が済むなら」
ひどい。ひどいのに。
失恋だと一発で言い当てた挙句、わかりやすいだなんて言うなんて。
それなのに、なぜだか少しだけ笑えた。
彼はそんな私を横目で見ながら、そっと囁いた。