よそ見してんじゃねーよ。〜前腕フェチ看護師が、クールな外科医の独占愛に捕まりました〜

 更衣室に向かうため階段を下っていると、思わず踏み外しそうになり、立ち止まる。

 『……よそ見してんじゃねーよ』

 数分前の壁ドンと先生の言葉が脳内に響く。

 「やばい……やばい……」

 顔が熱を帯びてきて両手で頬を覆った。

 そのままの意味って……

 でも……まさかね……

 だって、あの須波先生だよ?

 僅かな期待と冷静な否定が入り混じり、頭の中がぐちゃぐちゃだ。

 『お前の一番は……俺だろ?』

 …………。

 「無理ぃぃぃ……!」

 誰もいない階段でしゃがみ込んだ。

 なにあれ。

 心臓もたないよぉ……。

 これからふたりで会うなんて……。

 「いやいやいや」

 そう言葉に出して立ち上がる。

 たまたま一緒に健診に入ったから、お疲れ様会とか。

 そういうのかもしれない。

 うん。そうだ。

 きっとそう。

 そう自分に言い聞かせる。

 そうでもしないと、待ち合わせ場所に行けなかった。
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