よそ見してんじゃねーよ。〜前腕フェチ看護師が、クールな外科医の独占愛に捕まりました〜


 18:00。

 駅前で待つ私はソワソワと落ち着かない。

 連絡先も交換していないのに、手に持つスマホが安定剤になっていた。

 「白石」

 聞き慣れた低音ボイスに呼ばれ顔を上げると、思わずゴクンと唾を飲んだ。

 目の前に立つのは、初めてみる私服姿の先生。

 品のある白のオーバーサイズのTシャツに黒のスラックス。

 シンプルなのに、須波先生の良さが際立っていた。

 かっこいいぃ……!

 「……おい」

 先生の声と目の前で振られる手のひらで、自分がフリーズしていたことに気づいた。

 「あ、すいません」

 「行くぞ」

 そう言って歩き出した先生に連れてこられたのは、駅から少し歩いたところにある、隠れ家的なイタリアンだった。

 静かで上品だけど、気を張らなくていい素敵な雰囲気のお店だ。

 美味しい料理に舌鼓を打ちたいところだけど、目の前の推しに全神経が集中しちゃって、正直それどころではない。

 メニューを持つ仕草

 フォークで食事を口に運ぶところ

 ドリンクを飲むところ

 こんなサービスタイム、あっていいのですか。

 前腕が惜しげもなく"男"を主張してくる。

 ………でも、

 今は前腕だけじゃなくて、先生の全てが気になって仕方ない。

 あの言葉の意味の真相が知りたいという思いが、心の奥底から湧き上がって燻っている。
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