君の余命に僕の初恋を捧ぐ

第二章:閉じられた世界、遺された文字

それは、あまりにも突然の宣告だった。
日和は、康太が学校を休みがちになった理由を、彼の母親から偶然聞いてしまう。
——脳の病気。
それも、進行すればするほど「大切な人の記憶」から順に消えていき、やがて死に至る、治療法のない不治の病。
康太の寿命は、もう残り僅かだったのだ。
病気の苦しみ。
そして、大好きな人たちを忘れていってしまうという、いつ終わるかもわからない恐怖。
「どうして教えてくれなかったの……!」
日和が涙を流し、彼のもとへ駆けつけようとした、その矢先だった。
康太は、自らその命を絶った。
病院のベッドではなく、自らの意志で、彼は14年の短い生涯に幕を下ろしてしまったのだ。
「どうして……どうして生きることを諦めちゃったの!?」
葬儀の席で、日和は声を上げて泣いた。
深い絶望と、「何も知らずに笑っていた自分」への激しい悔恨が、彼女の心を容赦なく引き裂く。
なぜ彼は一人で逝ってしまったのか。なぜ、最後に何も言ってくれなかったのか。
答えのない問いに打ちひしがれ、部屋に引きこもる日和のもとに、康太の母親が訪ねてきたのは、彼が亡くなってから一週間が経った頃だった。
「日和ちゃん。康太、これをずっと、あなたに渡してほしいって言っていたの」
手渡されたのは、一冊の、少し古びたノート。康太の日記帳だった。
震える手でページをめくると、そこには康太の、少し丸まった文字で、あまりにも切ない真実が綴られていた。
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