メイドインダーク(マフィア令嬢と少年メイドのインモラル逃亡潜伏) ※長編・一括掲載(R指定)
3
「お風呂で、先に待ってなさい」
マリアは食後のコーヒーで呼吸を落ち着けてから、改めてケネディを急かすように風呂場に追いやる。
背後で服を脱ぐケネディを尻目に、「メッ」とシークレットを促す。
それから洗面台の棚から必要な小道具を取り出す(足りない分は台所や寝室から持ってきた)。不要な化粧用品の古くなった刷毛と、T字の安全剃刀も用意する。無駄毛処理用の泡の粉をタップリ入れて、紙コップでお湯に溶いた。
脱衣場でジーンズを下ろしたときには、パンティから女の発情した臭いが溢れ出るようだった。脱ぎ捨てた布切れはしとどに分泌された愛蜜に塗れ浸ってグッショリで、引き離せば太い透明な糸が何本も引くほどの凄い有様になっている。
マリアは自身の奥で猛り立つような欲情の奔放に驚愕してしまう。「一緒に脱衣しなくて良かった」というのが本音なくらいだった(少しくらいならまだしもここまでの淫蜜の大洪水ではさすがに恥ずかしい)。それでも躊躇わずにシャツも脱いで一糸纏わぬ姿になり、意を決してユニットバスのドアを開く。
……即席の「剃毛セット」を手にして。
美しい白蛇のような裸身の胸だけを腕で申し訳程度に隠すのは様式美のエチケットみたいなものだ。たとえ格好だけでも隠す素振りで恥らってみせることで、秘密の絶景美の有難味や価値を焦らし高められるとでも、女の狡猾な本能で心得ているらしい。
「これ」
とっくに裸んぼで浴槽の前に立っているケネディにそそくさと小道具を押し付ける。
「さ。お願いするわ……」
マリアは浴槽の縁に半分腰掛けるようにして、自分から足を開いて秘所をさらけた。
慣れてるはずのところなのに、ケネディの視線は否応なく吸い寄せられる。
「え……あ……」
小さく呟いて息を呑んだ少年メイド。マリアは誘うような誇らしげな笑みをたたえる。
(いいわ、全部見なさい……アンタのせいで、こんなになってるのよ!)
乙女の透き通るような淫らなアワビはすっかり痴情に茹っていた。
まるでその部位だけが別の生き物のように濡れ光ってしまって、スリットから垣間見えるピンクの桜肉がヒクヒクとうち震えている。作りたてのヨーグルトのような生々しい臭いを発散しながら、透明な液体を太股の内側にまでダラダラ流してしまっているのだった。
しかも恥毛が海草のように粘液で濡れそぼってしまっている。
こんなところをあられもなく差し出し示す行為だけでも羞恥が煽られるらしく、マリアは頬を紅く染めて喘ぐような吐息になっている。ポタリと糸を引いた愛液がタイル調の床に落ちたときには、さすがにドキリと決まり悪そうだった。それでも献身的なまでの「ご開帳」を止める気配が全くないのは、この少年には「特別に見る権利がある」と思っているからだ。純情なまでの愛欲の視線でくすぐられるほどに甘く火照っていくのが快い。
濡れた目線で少年メイドの顔を射て、マリアは率直に指示を与える。
「剃って」
「……毛を?」
「そうよ。慎重に、ね」
「いいんですか?」
斜め上の要求に、念押しするように問いかけるケネディ。
マリアはクスッと降参するような笑顔を綻ばせた。
「あなたに舐めさせるとき、汚いと嫌でしょ? トイレのときに汚れるから、剃っちゃった方が衛生的だと思うし。……それと、『初めて』をも一つあげるって言ったでしょ? ……男どころか、自分でも剃ったことないわ」
「……昨日、お尻で初めてしちゃいましたけど……」
「そうねえ。あとはこんなオマケみたいなのしか残ってないけど、許してね」
マリアは務めて明るく笑うが、表情には一瞬だけ暗い陰りが過ぎる。
かつて不条理な輪姦で処女を散らした彼女の心情からすれば、一番気に入っている大好きな男の子に捧げるもの、与えられるものとして知恵を絞っていたのかもしれない。ケネディの記憶とメンタルが回復したお祝いや、過去の因縁からの和解と再出発の証に、何かしら「特別なもの」を重ねてプレゼントしないと気がすまないようだった。
これも儀式とか、イニシエーションみたいなものなのだろうか。
ケネディは膝を突き、半立ちのマリアを上目遣いに見上げた。
「では」
「……あうっ! く、くすぐったい……やぁ」
粟を塗るとき、マリアは官能のくすぐったさに背中を戦慄かせる。
「ほんとに大丈夫なんですか? 剃刀のときに動いたら怪我しますよ?」
「それ、脇剃るための安全剃刀よ。ふつーの剃刀よりは安全なはずだわ……頑張って我慢して……あうううッ!」
熱い泡を孕んだ刷毛でクリトリスをクチュクチュと突っつかれてしまい(その感度、男のペニスの二十倍!)、マリアはの女心はうろたえた悲鳴を上げる。すっかり息が弾んで瞳が劣情に潤んでしまって、愛撫に翻弄される女の子の顔になってしまって。
ケネディは不安そうに様子を窺っている。
もしも手元が狂ったらどうしようかと、そればかり心配しているらしかった。
マリアは押し寄せる快楽に悔しそうに表情を歪めながらも止める気はない。
「いいのよ、やりなさい」
それでも気遣うケネディは躊躇い、思いついた代替案を口にする。
「もっと安全な電気剃刀とか? 探したら、そういう専用のものもあるでしょうに」
「……今度からはそうしましょう。……でも今は私の、女の大事のトコを、あなたの危ない刃物に任せたいから」
「でも下手したら、怪我しますよ?」
抗弁するケネディ、それでもマリアは半ば閉じた瞼を震わせて覚悟を告げる。
「そうね。……真剣勝負よ。あなたに切り裂かれても構わないわ」
「わかりました。手元が狂わないように、動かないでください」
ケネディはとうとうT字剃刀を手にして決意を固め、泡(と蜜)だらけの花園に臨む。まるで宝石の複雑な形への研磨や、工芸品に精密な細工物でもするかのような真剣な面持ちだった。
(マリアさまの、大事なところ……)
ただ触れたり交わることだけでなく、一切合財の全てを委ねられたことに責任重大とでも思ったらしい。単なる性的興奮のみならず、さながらに叙勲でも受けたような誇らしげで勇敢な顔になっている。
いくら普通の剃刀よりは安全度が高いとはいえ、万一横滑りでもしたら只では済むまい。
(もしも僕が失敗でもしたら、マリアさまにとんでもない怪我をさせてしまう……)
ケネディはマリアの顔を上目で一瞬だけチラと窺う。
狂おしい欲情の陶酔の中で、彼を伴侶として信頼しきった感情が満ちているようだった。
そのことが少年メイドをなおさらに勇気づける。
「やりますよ……!」
「ええ」
合図の囁きを待って、そっとT字剃刀で恥毛の小林の上の方に刃を当てる。
ショリっ!
……乙女の花園の伐採音が浴室に小さくもハッキリと鳴った。
「おっう?」
ほんの五・六本剃られただけで、マリアは途端に視界が眩みそうになる。とんでもない感度の感じ方だった。全てを差し出そうとした意思と行為が全身の性感帯神経を限界まで張り詰めさせて、体中がエクスタシーのスイッチになってしまっているようだった。
それでも耐える。どうにか耐える。
これは乗り越えるべき「試練」のようにさえ思われたから。
ショリ、ショリ……ショリ……。
段々に刃が降ってくる。クリトリスの横辺り。それから両方の陰唇へ。
(あっ! くぅッ! ううぅ……ヤバい! これ、ヤバすぎるぅ……!)
目を剥き唇をわななかせたが、マリアは超人的なまでの意志力で、ややもすれば跳ね上がりそうになる身体をどうにか押さえつける。それでも浴室の天井と壁の境を見ていたのは、あえて「恥の現場」を見る勇気がなかったからだ。一瞥したら、それだけで爆ぜる。子宮がせり降って陰部ごと膨らみそうになっているのが自分でわかるくらいだった。
ショリショリ……。ジョリ……。
「あ、は……うぅ……」
剃刀が振るわれる度、マリアはだらしのない吐息と呻きのような音色を漏らす。
こんな甘美な拷問は初体験だった。目がチカチカして世界が白くなりそうだ。
「はぁはぁはあ……」
ケネディも顔を赤くして破裂しそうなペニスをヒクヒクさせながらも、それでも忠実かつ真剣に命じられた処置を遂行する。ほとんど騎士道精神の領域だった。
(うわ……死、死ぬ……これ、めっちゃヤバい、感じすぎるぅ……)
マリアは何度か白眼を剥いて昂ぶった呼吸を浴室に反響させている。
丁寧にゆっくり剃る音と得体の知れないピリピリした快感の火花が続く。
こんなちょっとした振動だけで想定外なまでに凄絶な悶えの連続だった。
やがて触感が離れる。心持ちスッキリした感覚を自覚して、マリアは潤んだ眼を下げた。
そしたらケネディが淡々と言った。
「足、もっと開いてください。下の方、剃りますから」
「え……ああ?」
マリアは気の抜けた声を出す。耐え抜いたはずが、まだ少しだけ残っていたらしい。
そして無防備で恥さらしな股間に身をかがめた少年と眼が合う。
「ちょっと待って」
呼吸を整えなければ持ちそうになかった。
そしたら何かが会陰の敏感な粘膜にヌルリと触れる。
「アッ!」
刹那に少年メイドの指だと悟りながらも、マリアは唐突な悦楽電気の奇襲を受けて、全身でのけぞるようにビクンと跳ね上がった。
(うわっ! きたぁ! やっば! あっあっ!)
とうとう限界が爆ぜてしまったらしく、得体の知れない絶頂感覚に見舞われてしまう。
察した少年メイドは手を止めて、どうにもならなくなった女主人を見守っている。
「ウウッ! うっ! うっ……ううあっ!」
蜜壷の内奥からドプリと濃い愛液のが、絞られたマヨネーズのように溢れ出すのがわかる。どうやら身体の外側を強引に押さえつけた分だけ、内側の生殖器官が替わりに活性化して反応したらしい。マリアは自分の無残なまでに垂れ流したものがケネディの手を汚したこともわかったていたが、そんなことを気にする余裕は既にないのだった。
もう一回出し抜けに、臆病な指がこのまま続けて大丈夫かと探るように突っついてくる。
「んあぁ~~! おおおウゥ~~~っ」
ついに泣きそうな顔でマリアは隠しようもない歓喜に悶え唸っていた。女性自身が扇情のあまりに崩壊しそうで、あと少しで危くひっくり返らんばかりの乱れようだった。
さすがにケネディも有様と行く末が心配になったらしく、触れた左手と右手に控えたT字剃刀を下げて休憩または中断の意思を示す。
「ほんとに、大丈夫なんですか?」
マリアは半死半生みたく、息も絶え絶えにおそるおそる訊ねた。
「ハァハァ……あとどれくらい? どれくらいなの?」
「股の下のほうに、ほんの少しだけ」
マリアは内心に「ヒイッ」と悲鳴を上げたけれども、なお女の意地が勝ったらしい。
戦慄く唇を一瞬だけ一文字に結んでから破れかぶれで叫ぶ。
「いいわ! やりなさいっ!」
まるで怖がりの子供が注射に腕を差し出すような思い切りで命じるマリア。
「……やりなさいッ! ケネディっ!」
健気なまでに勇敢な、最高に濡れそぼった愛と情熱の叫びが喉から迸る。
もはや女の恥も外聞もなく蟹股やV字みたいに開いて作業に全力で協力するのだった。
ケネディはもはや何も言わない。相手の呼吸を読んでさながら練達の職人芸のように、芸術品にするような画竜点睛を仕上げにかかる。
無言で奈落へ落とすかのような、昇天へと導く一太刀、二太刀が振るわれるとき、マリアは声にならない絶叫を上げながら愛液の決壊とスプラッシュ(おもらし)の飛沫まで散らしたけれども、ケネディは決して目を逸らさなかった。
「アッ、オッ! オォっ! ンオッ……!」
些細な刺激だけで、それはもう動物じみた呻きが漏れ零れる。
まるで内的な時間感覚がぶっ飛んだようで、立ち往生で致命傷を負ったかのように硬直するマリア。凍てたような静止の中で、極度に鋭敏になった内感覚は脳天を突き抜けるような快感を炸裂させ、バチバチと爆竹のように激しい官能の火花を散らす。
これでもしも彼女が死力の集中力を振るい、桁はずれた忍耐力を発揮しなければ自滅していたかもしれない。一生涯に一度出来るか出来ないかの芸当だったに違いなかった。
(ああっ! マリアさま、ものすごく感じてる……!)
ケネディは愛するマリアさまを傷つけるかもしれない恐怖に内心で打ち震えながらも、女主人の絶対的な信頼と並外れた健闘ぶりには尊敬の念すら感じてしまう。浴室で淫らに喘ぎながら蟹股になって、剃毛の剃刀に股間を晒す女の姿は一見は無様で滑稽……しかし必死の真摯さには、どこか胸を打たれるような威厳があった。
「出来ました……終わりましたよ」
愛の儀式の成功を報告する声には少なからず感動の響きさえ混じっていた。
その完成を告げる言葉で、マリアは魔法が解けたように我に返ってくず折れそうになる。
慌てて支えたケネディにマリアは囁くように「キスして」と擦れ声にねだる。
それから裸でヒシと抱き合ったままで唇に唇を合わせて、二人でこの儀式の試練が成功した喜びと達成感を分かち合った。それは二人の愛の勝利だった。
「お風呂で、先に待ってなさい」
マリアは食後のコーヒーで呼吸を落ち着けてから、改めてケネディを急かすように風呂場に追いやる。
背後で服を脱ぐケネディを尻目に、「メッ」とシークレットを促す。
それから洗面台の棚から必要な小道具を取り出す(足りない分は台所や寝室から持ってきた)。不要な化粧用品の古くなった刷毛と、T字の安全剃刀も用意する。無駄毛処理用の泡の粉をタップリ入れて、紙コップでお湯に溶いた。
脱衣場でジーンズを下ろしたときには、パンティから女の発情した臭いが溢れ出るようだった。脱ぎ捨てた布切れはしとどに分泌された愛蜜に塗れ浸ってグッショリで、引き離せば太い透明な糸が何本も引くほどの凄い有様になっている。
マリアは自身の奥で猛り立つような欲情の奔放に驚愕してしまう。「一緒に脱衣しなくて良かった」というのが本音なくらいだった(少しくらいならまだしもここまでの淫蜜の大洪水ではさすがに恥ずかしい)。それでも躊躇わずにシャツも脱いで一糸纏わぬ姿になり、意を決してユニットバスのドアを開く。
……即席の「剃毛セット」を手にして。
美しい白蛇のような裸身の胸だけを腕で申し訳程度に隠すのは様式美のエチケットみたいなものだ。たとえ格好だけでも隠す素振りで恥らってみせることで、秘密の絶景美の有難味や価値を焦らし高められるとでも、女の狡猾な本能で心得ているらしい。
「これ」
とっくに裸んぼで浴槽の前に立っているケネディにそそくさと小道具を押し付ける。
「さ。お願いするわ……」
マリアは浴槽の縁に半分腰掛けるようにして、自分から足を開いて秘所をさらけた。
慣れてるはずのところなのに、ケネディの視線は否応なく吸い寄せられる。
「え……あ……」
小さく呟いて息を呑んだ少年メイド。マリアは誘うような誇らしげな笑みをたたえる。
(いいわ、全部見なさい……アンタのせいで、こんなになってるのよ!)
乙女の透き通るような淫らなアワビはすっかり痴情に茹っていた。
まるでその部位だけが別の生き物のように濡れ光ってしまって、スリットから垣間見えるピンクの桜肉がヒクヒクとうち震えている。作りたてのヨーグルトのような生々しい臭いを発散しながら、透明な液体を太股の内側にまでダラダラ流してしまっているのだった。
しかも恥毛が海草のように粘液で濡れそぼってしまっている。
こんなところをあられもなく差し出し示す行為だけでも羞恥が煽られるらしく、マリアは頬を紅く染めて喘ぐような吐息になっている。ポタリと糸を引いた愛液がタイル調の床に落ちたときには、さすがにドキリと決まり悪そうだった。それでも献身的なまでの「ご開帳」を止める気配が全くないのは、この少年には「特別に見る権利がある」と思っているからだ。純情なまでの愛欲の視線でくすぐられるほどに甘く火照っていくのが快い。
濡れた目線で少年メイドの顔を射て、マリアは率直に指示を与える。
「剃って」
「……毛を?」
「そうよ。慎重に、ね」
「いいんですか?」
斜め上の要求に、念押しするように問いかけるケネディ。
マリアはクスッと降参するような笑顔を綻ばせた。
「あなたに舐めさせるとき、汚いと嫌でしょ? トイレのときに汚れるから、剃っちゃった方が衛生的だと思うし。……それと、『初めて』をも一つあげるって言ったでしょ? ……男どころか、自分でも剃ったことないわ」
「……昨日、お尻で初めてしちゃいましたけど……」
「そうねえ。あとはこんなオマケみたいなのしか残ってないけど、許してね」
マリアは務めて明るく笑うが、表情には一瞬だけ暗い陰りが過ぎる。
かつて不条理な輪姦で処女を散らした彼女の心情からすれば、一番気に入っている大好きな男の子に捧げるもの、与えられるものとして知恵を絞っていたのかもしれない。ケネディの記憶とメンタルが回復したお祝いや、過去の因縁からの和解と再出発の証に、何かしら「特別なもの」を重ねてプレゼントしないと気がすまないようだった。
これも儀式とか、イニシエーションみたいなものなのだろうか。
ケネディは膝を突き、半立ちのマリアを上目遣いに見上げた。
「では」
「……あうっ! く、くすぐったい……やぁ」
粟を塗るとき、マリアは官能のくすぐったさに背中を戦慄かせる。
「ほんとに大丈夫なんですか? 剃刀のときに動いたら怪我しますよ?」
「それ、脇剃るための安全剃刀よ。ふつーの剃刀よりは安全なはずだわ……頑張って我慢して……あうううッ!」
熱い泡を孕んだ刷毛でクリトリスをクチュクチュと突っつかれてしまい(その感度、男のペニスの二十倍!)、マリアはの女心はうろたえた悲鳴を上げる。すっかり息が弾んで瞳が劣情に潤んでしまって、愛撫に翻弄される女の子の顔になってしまって。
ケネディは不安そうに様子を窺っている。
もしも手元が狂ったらどうしようかと、そればかり心配しているらしかった。
マリアは押し寄せる快楽に悔しそうに表情を歪めながらも止める気はない。
「いいのよ、やりなさい」
それでも気遣うケネディは躊躇い、思いついた代替案を口にする。
「もっと安全な電気剃刀とか? 探したら、そういう専用のものもあるでしょうに」
「……今度からはそうしましょう。……でも今は私の、女の大事のトコを、あなたの危ない刃物に任せたいから」
「でも下手したら、怪我しますよ?」
抗弁するケネディ、それでもマリアは半ば閉じた瞼を震わせて覚悟を告げる。
「そうね。……真剣勝負よ。あなたに切り裂かれても構わないわ」
「わかりました。手元が狂わないように、動かないでください」
ケネディはとうとうT字剃刀を手にして決意を固め、泡(と蜜)だらけの花園に臨む。まるで宝石の複雑な形への研磨や、工芸品に精密な細工物でもするかのような真剣な面持ちだった。
(マリアさまの、大事なところ……)
ただ触れたり交わることだけでなく、一切合財の全てを委ねられたことに責任重大とでも思ったらしい。単なる性的興奮のみならず、さながらに叙勲でも受けたような誇らしげで勇敢な顔になっている。
いくら普通の剃刀よりは安全度が高いとはいえ、万一横滑りでもしたら只では済むまい。
(もしも僕が失敗でもしたら、マリアさまにとんでもない怪我をさせてしまう……)
ケネディはマリアの顔を上目で一瞬だけチラと窺う。
狂おしい欲情の陶酔の中で、彼を伴侶として信頼しきった感情が満ちているようだった。
そのことが少年メイドをなおさらに勇気づける。
「やりますよ……!」
「ええ」
合図の囁きを待って、そっとT字剃刀で恥毛の小林の上の方に刃を当てる。
ショリっ!
……乙女の花園の伐採音が浴室に小さくもハッキリと鳴った。
「おっう?」
ほんの五・六本剃られただけで、マリアは途端に視界が眩みそうになる。とんでもない感度の感じ方だった。全てを差し出そうとした意思と行為が全身の性感帯神経を限界まで張り詰めさせて、体中がエクスタシーのスイッチになってしまっているようだった。
それでも耐える。どうにか耐える。
これは乗り越えるべき「試練」のようにさえ思われたから。
ショリ、ショリ……ショリ……。
段々に刃が降ってくる。クリトリスの横辺り。それから両方の陰唇へ。
(あっ! くぅッ! ううぅ……ヤバい! これ、ヤバすぎるぅ……!)
目を剥き唇をわななかせたが、マリアは超人的なまでの意志力で、ややもすれば跳ね上がりそうになる身体をどうにか押さえつける。それでも浴室の天井と壁の境を見ていたのは、あえて「恥の現場」を見る勇気がなかったからだ。一瞥したら、それだけで爆ぜる。子宮がせり降って陰部ごと膨らみそうになっているのが自分でわかるくらいだった。
ショリショリ……。ジョリ……。
「あ、は……うぅ……」
剃刀が振るわれる度、マリアはだらしのない吐息と呻きのような音色を漏らす。
こんな甘美な拷問は初体験だった。目がチカチカして世界が白くなりそうだ。
「はぁはぁはあ……」
ケネディも顔を赤くして破裂しそうなペニスをヒクヒクさせながらも、それでも忠実かつ真剣に命じられた処置を遂行する。ほとんど騎士道精神の領域だった。
(うわ……死、死ぬ……これ、めっちゃヤバい、感じすぎるぅ……)
マリアは何度か白眼を剥いて昂ぶった呼吸を浴室に反響させている。
丁寧にゆっくり剃る音と得体の知れないピリピリした快感の火花が続く。
こんなちょっとした振動だけで想定外なまでに凄絶な悶えの連続だった。
やがて触感が離れる。心持ちスッキリした感覚を自覚して、マリアは潤んだ眼を下げた。
そしたらケネディが淡々と言った。
「足、もっと開いてください。下の方、剃りますから」
「え……ああ?」
マリアは気の抜けた声を出す。耐え抜いたはずが、まだ少しだけ残っていたらしい。
そして無防備で恥さらしな股間に身をかがめた少年と眼が合う。
「ちょっと待って」
呼吸を整えなければ持ちそうになかった。
そしたら何かが会陰の敏感な粘膜にヌルリと触れる。
「アッ!」
刹那に少年メイドの指だと悟りながらも、マリアは唐突な悦楽電気の奇襲を受けて、全身でのけぞるようにビクンと跳ね上がった。
(うわっ! きたぁ! やっば! あっあっ!)
とうとう限界が爆ぜてしまったらしく、得体の知れない絶頂感覚に見舞われてしまう。
察した少年メイドは手を止めて、どうにもならなくなった女主人を見守っている。
「ウウッ! うっ! うっ……ううあっ!」
蜜壷の内奥からドプリと濃い愛液のが、絞られたマヨネーズのように溢れ出すのがわかる。どうやら身体の外側を強引に押さえつけた分だけ、内側の生殖器官が替わりに活性化して反応したらしい。マリアは自分の無残なまでに垂れ流したものがケネディの手を汚したこともわかったていたが、そんなことを気にする余裕は既にないのだった。
もう一回出し抜けに、臆病な指がこのまま続けて大丈夫かと探るように突っついてくる。
「んあぁ~~! おおおウゥ~~~っ」
ついに泣きそうな顔でマリアは隠しようもない歓喜に悶え唸っていた。女性自身が扇情のあまりに崩壊しそうで、あと少しで危くひっくり返らんばかりの乱れようだった。
さすがにケネディも有様と行く末が心配になったらしく、触れた左手と右手に控えたT字剃刀を下げて休憩または中断の意思を示す。
「ほんとに、大丈夫なんですか?」
マリアは半死半生みたく、息も絶え絶えにおそるおそる訊ねた。
「ハァハァ……あとどれくらい? どれくらいなの?」
「股の下のほうに、ほんの少しだけ」
マリアは内心に「ヒイッ」と悲鳴を上げたけれども、なお女の意地が勝ったらしい。
戦慄く唇を一瞬だけ一文字に結んでから破れかぶれで叫ぶ。
「いいわ! やりなさいっ!」
まるで怖がりの子供が注射に腕を差し出すような思い切りで命じるマリア。
「……やりなさいッ! ケネディっ!」
健気なまでに勇敢な、最高に濡れそぼった愛と情熱の叫びが喉から迸る。
もはや女の恥も外聞もなく蟹股やV字みたいに開いて作業に全力で協力するのだった。
ケネディはもはや何も言わない。相手の呼吸を読んでさながら練達の職人芸のように、芸術品にするような画竜点睛を仕上げにかかる。
無言で奈落へ落とすかのような、昇天へと導く一太刀、二太刀が振るわれるとき、マリアは声にならない絶叫を上げながら愛液の決壊とスプラッシュ(おもらし)の飛沫まで散らしたけれども、ケネディは決して目を逸らさなかった。
「アッ、オッ! オォっ! ンオッ……!」
些細な刺激だけで、それはもう動物じみた呻きが漏れ零れる。
まるで内的な時間感覚がぶっ飛んだようで、立ち往生で致命傷を負ったかのように硬直するマリア。凍てたような静止の中で、極度に鋭敏になった内感覚は脳天を突き抜けるような快感を炸裂させ、バチバチと爆竹のように激しい官能の火花を散らす。
これでもしも彼女が死力の集中力を振るい、桁はずれた忍耐力を発揮しなければ自滅していたかもしれない。一生涯に一度出来るか出来ないかの芸当だったに違いなかった。
(ああっ! マリアさま、ものすごく感じてる……!)
ケネディは愛するマリアさまを傷つけるかもしれない恐怖に内心で打ち震えながらも、女主人の絶対的な信頼と並外れた健闘ぶりには尊敬の念すら感じてしまう。浴室で淫らに喘ぎながら蟹股になって、剃毛の剃刀に股間を晒す女の姿は一見は無様で滑稽……しかし必死の真摯さには、どこか胸を打たれるような威厳があった。
「出来ました……終わりましたよ」
愛の儀式の成功を報告する声には少なからず感動の響きさえ混じっていた。
その完成を告げる言葉で、マリアは魔法が解けたように我に返ってくず折れそうになる。
慌てて支えたケネディにマリアは囁くように「キスして」と擦れ声にねだる。
それから裸でヒシと抱き合ったままで唇に唇を合わせて、二人でこの儀式の試練が成功した喜びと達成感を分かち合った。それは二人の愛の勝利だった。