メイドインダーク(マフィア令嬢と少年メイドのインモラル逃亡潜伏)
第一話「ユニセックスメイド・ケネディ」(後)
1
夜明け前の寝室には牝の臭いが色濃く漂っている。昨晩の残り香だった。
まだ時計が四時を差しているとき、マリアは突然に喉を震わせて目を覚ました。
裸のまま毛布をかけた身体は汗みずくになって動悸までがしていた。
(またあの夢……)
それは現実で体験したことが元になっているだけに、性質の悪い代物だ。
まだ高校生だった頃に集団陵辱された記憶は普段に忘れていても、あるときは白昼に突然にフラッシュバックし、ある晩には夢に出てくる。目を覚ますほどのことは常時ではなかったけれども、夢に見ながらも朝には忘れていることが多々あるに違いなかった。
(吐き気がする……)
静かに横たわっているというのに立ちくらみや眩暈までがするようだった。
自分でも気色が悪いのは、しばしば夢の中で泣き叫んで抵抗しながらも感じていることだろうか? あの実際の輪姦・強姦のときにも、何本もの慣れた手で執拗に弄くられて何度か絶頂してしまった。自分で自分が許せなくなったのを、よく覚えている。
ベッドの隣りではケネディがまだスヤスヤと眠っていた。
朦朧としながらもマリアは漠然とした欲情を感じる。しかも濡れているのは肌だけでなく、陰部の穴が阿呆のようにドロついている。これも昨晩のケネディとの行為のせいだけにはできない。寝ている間に見た悪夢のせいに違いがなかった。
マリアは熟睡している少年の手をとって、そっと自分のぬかるみに導いてみる。
わざわざ起こすのも可哀想な気がしたので、手だけを拝借しようというわけだった。
(ん……っ!)
敏感な牝貝はベッドの奥の、暗い毛布の奥の奥で息づいている。分泌した粘液で汚れた芽や外套膜を少年メイドの手で擦りつけるみたいにして。やがては大胆に、すぼめるようにして伸ばさせたケネディの指をゆっくり出し入れする。
声を殺したマリアは拝借した孫の手ならぬ、ケネディの手でふしだらな遊びに耽る。
(イイ……自分の手より、興奮するからなのかな?)
手の感触は大差ないようにも思うが、誰か他人に触れられるのと自涜するのとでは、違うらしい。早くも甘ったるい痺れが増してきて、心地よい静電気のようなチリチリ感が触れ合う股間に走る。
ときどきあることだったが、こんな背徳的な悦楽はマリアを昂ぶらせた。
そんなことをやっているとまだ半分寝ぼけたような頭に、いつもの定型化した観念が浮かび上がる。いつも連想して思い出すのだ。川端康成の『隻腕』という短編のことを。女の片腕を外して借りてくる怪異譚だったが、あの主人公の男は絶対に「借りた女の手」をオナニーに使ったに違いない。川端の小説は全体的にエロスで『眠れる美女』だの『みずうみ』だのに至っては完全にアブノーマルな退廃文学そのまんまだが、世界では変態を上手に極めるとノーベル賞が貰えるものらしい。
あえて非難する権利などはマリアにはないのだろうが。
(だけどわたしは、モーパッサンの『蝿』よりかはマシだと思いたいわ……)
恒例になってパターン化された、いつもの思考ループだった。これはフランスの『蝿』と呼ばれる女が五人の若者と一遍につきあって妊娠し、誰の子供だかわからないので「五人の子」とする小話。あいにくマリアは複数の男から性的暴行されたが、少なくとも故意に特定多数と遊びまわったわけではない。
元々高校生の頃には奥手な優等生タイプだった上に、今はケネディ一筋なのだ。
ゆえに、シチュエーションにつきまとう犯罪性さえ別にすれば純情で可愛いものだろう。
(ママが蓮っ葉なフランス人じゃなくって良かったかも……)
一番に亡き母親に感謝するのはその点だ。
彼女の母はロシア人で、その心理的な影響でなのだろうか、ロシア文学に出てくる「古き帝政時代」の令嬢をどこか模範にするような癖が付いているのは有難いことだった(世渡りする上で有利な仮面にもなるので……)。現実の現在のロシア女一般がどうなのかは良く知らなかったが、マリアの奇妙に奥ゆかしい性格には内面にある淑女の理想イメージが反映しているに違いない。だから異国の古典文学だの、ドイツ語の勉強だのに入れ込むのも、そのステレオタイプが初期原因になって「習い性となった」という経緯がある。
おそらくは「ヤクザの婚外子」という自分の生まれへの反発も内面の動機にあるだろうが、その点は勘弁して欲しかった。思い出すだけで憂鬱になる事柄だ。
そうこうして想念を泳がせているうちにも、歳(十九歳)の割りに無闇に貪欲になってしまった身体の、子宮へと続く蜜奥が内側から物欲しげにピクンピクンと震えだす。
(あ……)
強まった快感電流の火花に声が漏れそうになって噛み殺す。
寝ぼけ眼で朦朧としてあらぬことに思いを巡らせながらも、性的に快感を得ていたことに変わりはない。「根っからの好き者だ」などと言われたら反論しかねるだろう。だからマリアは居直ったように心を無にして、寝ているケネディの手で己の性器を愛撫し続けた。
拝借した手から伝わっているであろう、濡れそぼった陰唇や玉門、勃起したクリトリスの感覚を、夢の中のケネディがどう感じているのかには興味がなくもない。
挙句に小さなオーガズムが弾けてからは何も考えられなくなった。
すっかり恥裂がぬかるんでしまって、ゆるく押しつけるだけで吸い込むようだった。
(うわ……入るゥ……)
たとえ小ぶりな手だとはいえ、指を四本も五本も飲み込んでしまうのは尋常ではない。
それでマリアはついつい悪戯っ気を起こす。
(うぅン……いけるかな……?)
人生はレッツ・チャレンジ!
マリアは半分起きかけて股を開き気味にする。
(どこまで……どこまで入るかな?)
ゆっくり、ゆっくりと慎重に押し込んでいく。
もしも痛かったり危なそうだったら、すぐに止めるつもりだった。
しかし驚異的なことにマリアの膣は熟れたように膨らんで、それを受け入れていくのだ。指の付け根の中ほどまで、五本の指が入ってしまう。女の性器は性的興奮などで柔らかく延びるようにできているそうで、妊娠や出産が可能なのもそのおかげだ。
自己の「女体の神秘」を思い知って、マリアは自分でもビックリだった。
(うそ……ありえない……)
ケネディの手はほとんど手首近くまでスッポリ収まってしまった。
いくら小ぶりな手だとはいえ、ここまで出来てしまうのは自分の身体がおかしいのだとしか思えない。マリアは夢でも見ているのかと刹那に疑ったくらいだった。リアルだと悟ったとき、自分がとんでもないあばずれ女になった気がして愕然となってしまう。
「む……ぅ……」
恐ろしいことにケネディが目を覚ます気配を見せる。
こんなところを見られたくなかった。たとえ半分バレていても、あくまでもシラを切りとおさねばならないとマリアは決意する。
(起きるな! 起きないでっ!)
心の中で叫びつつ、寝ぼけて度を過ぎてしまった女は焦りに焦った。
(うわ、ヤバ、抜けない? 抜けなくなってる? やだ、うそ……!)
けれども緊張のせいなのか膣が絞まって少年メイドの手を噛み締めてしまい、もしも一遍に強引に引き抜こうとすれば、性器が張り裂けてしまう惧れさえある。一瞬頭の中で破れたヴァギナが血塗れになって中身をぶちまける映像が浮かんで戦慄してしまった。
(あちゃー! 慣れないことなんか、するもんじゃないわー!)
最悪の場合にはケネディを起こして協力させるしかなかったが、それは「恥」なので避けたかった。それに寝ぼけて腕を強引に動かされたりしたら危ないどころのはなしではない。彼の拳は今まさに、マリアの急所に刺さって抜けなくなっているのだから。
(ああうぅ、なんでこんなバカなことやっちゃったんだろ……)
マリアは俄かに後悔と慙愧の念に駆られる。
まだこれが、同じ太さか先が細くなったバイブとかならば、いざとなれば引っ張り出すのも手軽だろう。けれども人間の手というのは手首が細くなっていて、中に拳を押し込んだら引っかかってしまうことは目に見えているのに(どうやら膣の中で「握り気味」の形になってしまったらしい)。
まさしく後悔は先に立たないのだということをマリアは思い知らされる。
おまけにケネディがまた薄っすらと目を開いたようだった。
それでとっさにマリアは空いた腕で抱き寄せるようにして(暴れられたら敵わない)、むき出しの乳房を顔に押しつけてやる。天使のような必死の作り笑いを浮かべつつ。
案の定、半睡のケネディは吸いついてきた。闇の中で安心した雰囲気が伝わってくる。
(まだオッパイ恋しいのね……男って、みんなこうなのかしら?)
だがそれどころではない。冗談ではなかった。
愚行で突っ込んでしまった手を、どうにかして引っこ抜かなくては。
だんだんに目が冴えてくるほどに我に返ってしまい、マリアは懼れと混乱と激しい羞恥に見舞われる。腋の下を新しい汗が伝ったようだった(冷や汗なのか?)。
必死で呼吸を整えようとしているときに、乳首に鋭い快感が掠めていく。
「んちゅ……」
赤ちゃんのように吸いついたケネディがえもいわれぬ舌遣いで吸っている。
「ぅ……」
不意打ちされて歓喜の呻きがマリアの喉の奥でくぐもる。
なんだか母親にでもなったみたいだった。今更に深く考えるまでもなかったけれども、この少年メイドには出会った頃からしょっちゅう母性本能をくすぐられている。あるいは年下男と遊ぶ熟女も、こんな気分なのだろうか?
(そうだ……!)
思いついて発想を変え、股の力を抜きながら下腹にグッと力を込める。
無理に引っ張るのでなく、身体の内側からひり出して「産め」ばいいのだ。
(う、ふぅぅ……ふぅう……)
授乳しながら、愛しい少年(の手)を分娩することは、奇異な愉悦でもあるようだ。
とっくに自分の身体からは毛布をのけて、ケネディの背中にかけている。ぐっと蟹股のように開いた股関節の間から、異物が押し出されていくのが見える。若干の快感はあったけれども苦しさが勝り、得ていたのは性的な快楽というよりは「女の戦い」の満足感だったかもしれない。
マリアは必死になって顔を火照らせていきむ。
「うっ、うぅ」
本人には難儀だが、客観的には滑稽以外の何物でもない自覚が悲しかった。
「ううぅぅ……」
太さがマックスになった部分が膣口を通るときが最大の緊張の瞬間だった。
ようやくズルリと「手」が抜け落ちたとき、マリアは心から安堵と達成感に包まれる。
まるで「我が子」であるかのように、ケネディへの愛おしさが増したようだったから不思議なことだ。毛布をかけなおして抱きしめ、乳首を含ませたまま朝寝の眠りに落ちた。
夜明け前の寝室には牝の臭いが色濃く漂っている。昨晩の残り香だった。
まだ時計が四時を差しているとき、マリアは突然に喉を震わせて目を覚ました。
裸のまま毛布をかけた身体は汗みずくになって動悸までがしていた。
(またあの夢……)
それは現実で体験したことが元になっているだけに、性質の悪い代物だ。
まだ高校生だった頃に集団陵辱された記憶は普段に忘れていても、あるときは白昼に突然にフラッシュバックし、ある晩には夢に出てくる。目を覚ますほどのことは常時ではなかったけれども、夢に見ながらも朝には忘れていることが多々あるに違いなかった。
(吐き気がする……)
静かに横たわっているというのに立ちくらみや眩暈までがするようだった。
自分でも気色が悪いのは、しばしば夢の中で泣き叫んで抵抗しながらも感じていることだろうか? あの実際の輪姦・強姦のときにも、何本もの慣れた手で執拗に弄くられて何度か絶頂してしまった。自分で自分が許せなくなったのを、よく覚えている。
ベッドの隣りではケネディがまだスヤスヤと眠っていた。
朦朧としながらもマリアは漠然とした欲情を感じる。しかも濡れているのは肌だけでなく、陰部の穴が阿呆のようにドロついている。これも昨晩のケネディとの行為のせいだけにはできない。寝ている間に見た悪夢のせいに違いがなかった。
マリアは熟睡している少年の手をとって、そっと自分のぬかるみに導いてみる。
わざわざ起こすのも可哀想な気がしたので、手だけを拝借しようというわけだった。
(ん……っ!)
敏感な牝貝はベッドの奥の、暗い毛布の奥の奥で息づいている。分泌した粘液で汚れた芽や外套膜を少年メイドの手で擦りつけるみたいにして。やがては大胆に、すぼめるようにして伸ばさせたケネディの指をゆっくり出し入れする。
声を殺したマリアは拝借した孫の手ならぬ、ケネディの手でふしだらな遊びに耽る。
(イイ……自分の手より、興奮するからなのかな?)
手の感触は大差ないようにも思うが、誰か他人に触れられるのと自涜するのとでは、違うらしい。早くも甘ったるい痺れが増してきて、心地よい静電気のようなチリチリ感が触れ合う股間に走る。
ときどきあることだったが、こんな背徳的な悦楽はマリアを昂ぶらせた。
そんなことをやっているとまだ半分寝ぼけたような頭に、いつもの定型化した観念が浮かび上がる。いつも連想して思い出すのだ。川端康成の『隻腕』という短編のことを。女の片腕を外して借りてくる怪異譚だったが、あの主人公の男は絶対に「借りた女の手」をオナニーに使ったに違いない。川端の小説は全体的にエロスで『眠れる美女』だの『みずうみ』だのに至っては完全にアブノーマルな退廃文学そのまんまだが、世界では変態を上手に極めるとノーベル賞が貰えるものらしい。
あえて非難する権利などはマリアにはないのだろうが。
(だけどわたしは、モーパッサンの『蝿』よりかはマシだと思いたいわ……)
恒例になってパターン化された、いつもの思考ループだった。これはフランスの『蝿』と呼ばれる女が五人の若者と一遍につきあって妊娠し、誰の子供だかわからないので「五人の子」とする小話。あいにくマリアは複数の男から性的暴行されたが、少なくとも故意に特定多数と遊びまわったわけではない。
元々高校生の頃には奥手な優等生タイプだった上に、今はケネディ一筋なのだ。
ゆえに、シチュエーションにつきまとう犯罪性さえ別にすれば純情で可愛いものだろう。
(ママが蓮っ葉なフランス人じゃなくって良かったかも……)
一番に亡き母親に感謝するのはその点だ。
彼女の母はロシア人で、その心理的な影響でなのだろうか、ロシア文学に出てくる「古き帝政時代」の令嬢をどこか模範にするような癖が付いているのは有難いことだった(世渡りする上で有利な仮面にもなるので……)。現実の現在のロシア女一般がどうなのかは良く知らなかったが、マリアの奇妙に奥ゆかしい性格には内面にある淑女の理想イメージが反映しているに違いない。だから異国の古典文学だの、ドイツ語の勉強だのに入れ込むのも、そのステレオタイプが初期原因になって「習い性となった」という経緯がある。
おそらくは「ヤクザの婚外子」という自分の生まれへの反発も内面の動機にあるだろうが、その点は勘弁して欲しかった。思い出すだけで憂鬱になる事柄だ。
そうこうして想念を泳がせているうちにも、歳(十九歳)の割りに無闇に貪欲になってしまった身体の、子宮へと続く蜜奥が内側から物欲しげにピクンピクンと震えだす。
(あ……)
強まった快感電流の火花に声が漏れそうになって噛み殺す。
寝ぼけ眼で朦朧としてあらぬことに思いを巡らせながらも、性的に快感を得ていたことに変わりはない。「根っからの好き者だ」などと言われたら反論しかねるだろう。だからマリアは居直ったように心を無にして、寝ているケネディの手で己の性器を愛撫し続けた。
拝借した手から伝わっているであろう、濡れそぼった陰唇や玉門、勃起したクリトリスの感覚を、夢の中のケネディがどう感じているのかには興味がなくもない。
挙句に小さなオーガズムが弾けてからは何も考えられなくなった。
すっかり恥裂がぬかるんでしまって、ゆるく押しつけるだけで吸い込むようだった。
(うわ……入るゥ……)
たとえ小ぶりな手だとはいえ、指を四本も五本も飲み込んでしまうのは尋常ではない。
それでマリアはついつい悪戯っ気を起こす。
(うぅン……いけるかな……?)
人生はレッツ・チャレンジ!
マリアは半分起きかけて股を開き気味にする。
(どこまで……どこまで入るかな?)
ゆっくり、ゆっくりと慎重に押し込んでいく。
もしも痛かったり危なそうだったら、すぐに止めるつもりだった。
しかし驚異的なことにマリアの膣は熟れたように膨らんで、それを受け入れていくのだ。指の付け根の中ほどまで、五本の指が入ってしまう。女の性器は性的興奮などで柔らかく延びるようにできているそうで、妊娠や出産が可能なのもそのおかげだ。
自己の「女体の神秘」を思い知って、マリアは自分でもビックリだった。
(うそ……ありえない……)
ケネディの手はほとんど手首近くまでスッポリ収まってしまった。
いくら小ぶりな手だとはいえ、ここまで出来てしまうのは自分の身体がおかしいのだとしか思えない。マリアは夢でも見ているのかと刹那に疑ったくらいだった。リアルだと悟ったとき、自分がとんでもないあばずれ女になった気がして愕然となってしまう。
「む……ぅ……」
恐ろしいことにケネディが目を覚ます気配を見せる。
こんなところを見られたくなかった。たとえ半分バレていても、あくまでもシラを切りとおさねばならないとマリアは決意する。
(起きるな! 起きないでっ!)
心の中で叫びつつ、寝ぼけて度を過ぎてしまった女は焦りに焦った。
(うわ、ヤバ、抜けない? 抜けなくなってる? やだ、うそ……!)
けれども緊張のせいなのか膣が絞まって少年メイドの手を噛み締めてしまい、もしも一遍に強引に引き抜こうとすれば、性器が張り裂けてしまう惧れさえある。一瞬頭の中で破れたヴァギナが血塗れになって中身をぶちまける映像が浮かんで戦慄してしまった。
(あちゃー! 慣れないことなんか、するもんじゃないわー!)
最悪の場合にはケネディを起こして協力させるしかなかったが、それは「恥」なので避けたかった。それに寝ぼけて腕を強引に動かされたりしたら危ないどころのはなしではない。彼の拳は今まさに、マリアの急所に刺さって抜けなくなっているのだから。
(ああうぅ、なんでこんなバカなことやっちゃったんだろ……)
マリアは俄かに後悔と慙愧の念に駆られる。
まだこれが、同じ太さか先が細くなったバイブとかならば、いざとなれば引っ張り出すのも手軽だろう。けれども人間の手というのは手首が細くなっていて、中に拳を押し込んだら引っかかってしまうことは目に見えているのに(どうやら膣の中で「握り気味」の形になってしまったらしい)。
まさしく後悔は先に立たないのだということをマリアは思い知らされる。
おまけにケネディがまた薄っすらと目を開いたようだった。
それでとっさにマリアは空いた腕で抱き寄せるようにして(暴れられたら敵わない)、むき出しの乳房を顔に押しつけてやる。天使のような必死の作り笑いを浮かべつつ。
案の定、半睡のケネディは吸いついてきた。闇の中で安心した雰囲気が伝わってくる。
(まだオッパイ恋しいのね……男って、みんなこうなのかしら?)
だがそれどころではない。冗談ではなかった。
愚行で突っ込んでしまった手を、どうにかして引っこ抜かなくては。
だんだんに目が冴えてくるほどに我に返ってしまい、マリアは懼れと混乱と激しい羞恥に見舞われる。腋の下を新しい汗が伝ったようだった(冷や汗なのか?)。
必死で呼吸を整えようとしているときに、乳首に鋭い快感が掠めていく。
「んちゅ……」
赤ちゃんのように吸いついたケネディがえもいわれぬ舌遣いで吸っている。
「ぅ……」
不意打ちされて歓喜の呻きがマリアの喉の奥でくぐもる。
なんだか母親にでもなったみたいだった。今更に深く考えるまでもなかったけれども、この少年メイドには出会った頃からしょっちゅう母性本能をくすぐられている。あるいは年下男と遊ぶ熟女も、こんな気分なのだろうか?
(そうだ……!)
思いついて発想を変え、股の力を抜きながら下腹にグッと力を込める。
無理に引っ張るのでなく、身体の内側からひり出して「産め」ばいいのだ。
(う、ふぅぅ……ふぅう……)
授乳しながら、愛しい少年(の手)を分娩することは、奇異な愉悦でもあるようだ。
とっくに自分の身体からは毛布をのけて、ケネディの背中にかけている。ぐっと蟹股のように開いた股関節の間から、異物が押し出されていくのが見える。若干の快感はあったけれども苦しさが勝り、得ていたのは性的な快楽というよりは「女の戦い」の満足感だったかもしれない。
マリアは必死になって顔を火照らせていきむ。
「うっ、うぅ」
本人には難儀だが、客観的には滑稽以外の何物でもない自覚が悲しかった。
「ううぅぅ……」
太さがマックスになった部分が膣口を通るときが最大の緊張の瞬間だった。
ようやくズルリと「手」が抜け落ちたとき、マリアは心から安堵と達成感に包まれる。
まるで「我が子」であるかのように、ケネディへの愛おしさが増したようだったから不思議なことだ。毛布をかけなおして抱きしめ、乳首を含ませたまま朝寝の眠りに落ちた。