いじわるな指先に惑わされる恋なんてしたくないです!
「蓮見来たからカンパーイ!」

声をかけたら次々に乾杯をして、宇佐美さんの声にみんなが注目をする。

「ほら蓮見も、お疲れ」

「…お疲れ様です」

コンッとグラスを合わせた、ただのウーロン茶で。

…えっと、これは交換?してくれたってことかな。
宇佐美さんのウーロン茶と…

「一口も飲んでないから」

ふっと息が吹き込まれるみたいに耳元で宇佐美さんの声がした、ささやくみたいな小さな声で。

「間接チュー、期待した?」

私にだけ聞こえる声で言うから、それもふっとわざと息を当てるみたいに。

「してませんっ!」

ぐいっと頭を押し返して、めいっぱい突き放すように引き離した。

「子供じゃないんでそんなこと考えませんから!」

くすって笑ってたけど、宇佐美さんは。

わーわーと盛り上がってる飲み会じゃ、誰も見てないからこんなの。

「飲んでる(てい)でいいでしょ、それなら」

ふふって、今度は優しく笑った。
私の方を見て、余裕な顔でウーロンハイ飲んで。

「別に飲まなくてもいいけど、蓮見は気ぃ遣いなんだよね」

……。

やっぱりそうなんだって思っちゃった、嫌味ばっかり言うしからかわれてばっかりだけど…

宇佐美さんこそ気遣ってくれたんだ。

私がお酒が飲めないことが気重になってたから、わざとみんなの前でウーロンハイを注文してまるで私が頼んだみたいに。


だから呼んだの?

私をここに、無理に飲まなくてもいいようにって。


ごくんっとひとくちウーロン茶を飲んだ。
本当にただのウーロン茶だし、普通にウーロン茶だし。

「……。」

ドクドクと震えそうになる手でグラスを握った。

アルコールなんか入ってないのに抑えきれない鼓動を落ち着かせるために。


手が触れるかと思った。

目の前から消えていくグラスを持つ手に、ドキドキしちゃったじゃん。


あの指先が、どうしても忘れられない。

頭にこびりついてるみたいに離れてくれない。
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