この時間を忘れる方法があるなら
ヤブラン 隠された気持ち
『それじゃ‥行ってきます‥聞いてるのか?』

「えっ!?あ‥う、うん‥分かってる。い、行ってらっしゃい」

『フッ‥‥』

玄関まで見送ると、バタンとドアが閉められたと同時に一気に恥ずかしさが込みあがりその場に座り込んでしまった

何であんなに普通‥なの?

恋人らしく振る舞えるか不安だったから練習とはいいつつも、眠ってしまったならソファに置いたままで 放っておけば良かったのに‥‥

冷静にしていたけど、思い返せばやはりすごい状況で眠っていたことに頭を抱える

腰に回された腕‥‥それに絡められた足先‥

腕の中から見上げた柊さんの寝顔が美し過ぎて、思い出すだけでまた顔に熱が籠る

今日は帰って来ないのが逆に良かった‥‥
明日までに落ち着いて本番を迎えないといけないのだから‥‥

気持ちを切り替えて家の掃除をしたりしながら、明日のパーティーの招待客リストに目を通していると、鳴り響いたインターホンに立ち上がり駆け寄る

誰だろう‥‥

基本的には出なくていいと言われている以上、居留守をするしかないが、画面に映る見知らぬ女性を暫く眺めていたが一向に去る気配がなく不安になり、たまらず柊さんにメールを送った

すると、すぐに電話をかけてきてくれたので、それにもまた驚いた

『どうした?』

電話だと‥少しだけ声が低いんだ‥‥

「お忙しいのにすみませんッ‥‥。今、知らない女性が訪ねて来ていつものように留守だと分かれば去ると思ったんですが、もう5分はそこから動かなくて心配で‥‥。柊さんのお知り合いかもしれませんし‥」

『‥‥‥どんな人か教えて貰えるかい?』
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