この時間を忘れる方法があるなら
『柊さん‥やっとお会いできましたわね。それに‥莉奈さん‥あなたにも』

ドクン

この女性は私‥いや‥莉奈さんのことを知ってる人?

可愛い仕草とは反対に真っ直ぐ見つめられる視線は厳しく感じるものだった

どうしよう‥‥なんて答えればいい‥?

『叔母さんお久しぶりです。それに真由香さんも。しかし、今日は招待した覚えはないのですが?』

えっ?

白いスーツの女性の眉がピクリと動き眉間に皺が寄せられるものの、柊さんは微動だにせず一切表情を崩さない

『あなたの叔母だもの‥堅苦しい事はよして?
それに、真由香さんを放っておいた事の言い訳でもあるのかしら?あなたの婚約者でしょう?』

嘘ッ‥‥!!

婚約者という言葉に流石に動揺せずに居られず、後ろに立ち青ざめそうになる私は、向こうから見えない位置で手を躊躇なく握られハッとして見上げた

婚約者って‥‥でも柊さんには莉奈さんが‥‥

知らされていなかった事だからこそ驚くのは当然だけど、それよりも、そんな方が昨日家を訪ねて来て事の方が恐ろしく思えた

『今日は社にとって重要なパーティーです。あなた方のどうでもいい話に付き合わないといけませんか?』

『柊!!』

『これ以上大声を出されるようならこちらも黙ってはいませんよ?婚約の事に関しても強引に話を持ちかけ上手く両親を自分の側に引き込んだと思ってるようですが‥残念でしたね、俺の気持ちは変わりませんから。』

さっきよりもより強く手を握られると柊さんの指先が冷たく感じ、咄嗟に私も握り返した
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