この時間を忘れる方法があるなら
その後、社長室と呼ばれる場所で、徹底的に莉奈さんの生い立ちから関係のある人々や場所を書類や映像で叩き込まれる

幸い莉奈さんは施設育ちで育ての祖父母のうち祖父は他界。祖母は施設に入居し、アルツハイマーが進行し、莉奈の事も半ば分からなくなっているという


『君のことは俺の両親の前やパーティーなどで同伴する時は莉奈と呼ぶ。俺のことは柊さんと呼ばれていからそう呼んで欲しい。あと、俺たちは一緒に暮らしていたから君にもそこで生活をして欲しい。』

「‥‥わかりました」

私のようで私ではない生活がどうなるかなんてわからないし不安の方が当たり前に大きい

いくら顔が似ているとは言え、何処かでバレてしまい川崎さんに迷惑がかかるのだけは避けないといけない

『あとは‥‥君には家事全般と時々ここに来て仕事を手伝って欲しい。俺のことや会社のことを知らずにいくわけにはいかないだろう?俺の秘書である高橋について行動すればいい。』

「あ‥‥あの‥私は教養も高校生までですし、会社という場所で働いた事がありませんがご迷惑じゃないでしょうか?」

日雇いの仕事や飲食店など、とても誇れる履歴もない私がこんな大きな企業でとてもやっていける気はしない

不安で書類をいつの間にか力いっぱい握りしめていたのか、隣に座ってきた川崎さんが私のその手を上から握ったことでハッと我に返り手を振り払おうとするも、更に手を力強く握られた
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