綾瞳
「いい子にしてた?」
「――うん」
 雅くんのかんばせを見る。と、目が合い、やさしくほほ笑まれて、この男から逃げるなんて無理に決まっているとのあきらめを抱いた。
「……いい子にできなかったら、分かるよね」
「……」
「スミス」
「……うん」
 逃げ出さずに大人しくしろと言われている気がして、押し黙る。逃げ出さずに大人しくするから――いまはスミスで縛らないで。
「……あの、オムライス」
「ああ、捨てるから、それ」
 そう言ってわたしのプレートを回収し、それをキッチンへと運んだ。
 ――雅くんにとってのわたしとはいったいなんなのか。容赦なく捨てられるオムライスを見て、こうしたむなしい問いを立てずにはいられなかった。
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