ネックとプロポーズ
私は確かに首元フェチかもしれないけれど、誰にだってときめくわけじゃない。

和泉くんだからだよ。

和泉くんだから、ときめくし、安心するのに。

それに、和泉くんの隣にいたいのは、それだけが理由じゃない。



(だけどそんなことを言ったら、面倒な女だって思われる?)



もうすぐ三十歳になる彼女が、安心とか、ときめきとか、首元フェチとか。

幼稚だって思う?

二つも年上なんだもん、大人の女の余裕が大事だよね?



(でも、そんなの、私じゃない。)



大人の余裕を装っていたのは、年下の和泉くんの隣にいる為に、何か価値のようなものが欲しかったから。

「大人」を演出しなかったら、和泉くんに呆れられるんじゃないかって怖かったから。

だって……。



「……私なんかのどこが好きなの?」

「えっ?」

「和泉くんの言う通り、首元が好きな年上女だけど、実際は自信のないただのアラサー女で、頭の中では怖がってばっかりいるんだよ? 魅力なんかないのに」
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