ネックとプロポーズ
「……はい」



宮原さんは左手で自分の首を撫でた。

薬指の指輪が美しく、輝いて見えた。



(いいな、永遠を誓った証)



和泉くんといつか、と思っている。

いつになっても良いけれど、本当は今すぐにでも結婚したい。

和泉くんとお互いの部屋を行き来する恋人同士の今も大切だけど、同じ家にずっと一緒にいることが当たり前になると、もっと良いのに。

私達だけの世界が、私達以外にも認められる「結婚」という形で、夫婦という関係になりたい。

そうすれば、もっと堂々と和泉くんを独占していられるのに。



「なんか、首元かゆいな」
と、宮原さんが呟いた。



「虫とかいるんじゃないですか?」

「えっ、嫌なんだけど。ちょっと見てくんない?」

「……えぇ? うーん、ちょっと左手どけてみてください」



面倒だと思いつつ、いや、私が言い出したなと思い直して、宮原さんの首を見た。

虫はいない。

それに、何も感じない。
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