観覧車が止まった夜、片想いが動き出した
東雲さんとは、同じフロアでも部署が違う。
私が入社して一年後、彼は別の事業所から異動してきた。
細身で、控えめな挨拶をする静かな人――
最初はそんな印象だった。
フロアの各所に複合機が設置されていて、
私のデスク近くの機械を彼はよく使う。
コピーに来るたび、時任さんが話しかける。
二人は以前、同じ部署だったらしい。
新入社員の頃の天然エピソードを面白おかしく語る時任さんに、
東雲さんは困ったように笑いながら応じる。
その笑顔に胸がときめいて、いつの間にか目で追うようになった。
二人の間に挟まるかたちで、私も会話に混ざる。
――といっても、相槌を打つくらいだけど。
彼の低くて爽やかな声が耳に届くたび、胸の奥がくすぐったくなる。
彼のコピーが終わるまでの時間は、私には特別だった。