【長編版】冷徹弁護士の甘い執着〜八年前の初恋相手に、もう一度捕らわれる〜
※正樹視点
夕暮れ時。鳳法律事務所の一室は、窓からぼんやりとした光を放っていた。
大きなガラス窓の外には無数の光がまたたく夜景が広がり始めているのに、正樹の視線はその華やかさには目もくれず、デスクの上に広げられた大切な証拠へと鋭く注がれている。
(ようやく真相にたどり着く。八年……ようやくだ)
山崎の古いチェストの底から現れた古びた日記帳。そして悪意ある声に満ちた音声データ。
それらを前に正樹は静かに思考を巡らせていた。
(麻里の尽力によって得られた記録だ。無駄にするわけにはいかない)
正樹の頭脳は休むことなく働き続けていた。
シンセイ開発を法的に、そして社会的に、根絶やしにするために――。
「これだけの物証があれば、確実に外堀は埋められる」
自信に満ちた独り言。
しかし、ちらりと横を見た正樹の表情は固い。
デスクの隅に置かれたタブレット端末。そこに表示されていたのは、ミツルギ重工のセキュリティ部門から上がってきた、ここ数日間の緊急報告書だった。
『ここ四十八時間以内に、社内サーバーへの不正アクセス試行が急増。発信元は偽装されているが、解析の結果、シンセイ開発の関連法人が過去に使用していたIPアドレスと酷似――』
シンセイ開発の奴らも、何かに勘づいたのだろう。
仕方がない。八年間、完璧に隠蔽してきたはずの『要』に、ミツルギ重工の代理人弁護士が頻繁に会いに行っていたのだから。
だからこそ彼らはミツルギ重工のデータを必死にハッキングし、どこまで真実に近づいているかを探ろうとしているのだろう。
(実力行使に出てくるのも時間の問題か。焦っているな)
報告書を読み終えてひと息つくと、ふと手元にあった一本の万年筆が目に入った。
それは大学時代、法学部の最優秀特待生として表彰された際に記念品として贈られたものだった。
(これを貰ったとき、まだ麻里は大学にいたんだったな)
艶やかに輝くその万年筆を見つめるうちに、正樹の頭の中に八年前の記憶がよみがえってきた。
大きなガラス窓の外には無数の光がまたたく夜景が広がり始めているのに、正樹の視線はその華やかさには目もくれず、デスクの上に広げられた大切な証拠へと鋭く注がれている。
(ようやく真相にたどり着く。八年……ようやくだ)
山崎の古いチェストの底から現れた古びた日記帳。そして悪意ある声に満ちた音声データ。
それらを前に正樹は静かに思考を巡らせていた。
(麻里の尽力によって得られた記録だ。無駄にするわけにはいかない)
正樹の頭脳は休むことなく働き続けていた。
シンセイ開発を法的に、そして社会的に、根絶やしにするために――。
「これだけの物証があれば、確実に外堀は埋められる」
自信に満ちた独り言。
しかし、ちらりと横を見た正樹の表情は固い。
デスクの隅に置かれたタブレット端末。そこに表示されていたのは、ミツルギ重工のセキュリティ部門から上がってきた、ここ数日間の緊急報告書だった。
『ここ四十八時間以内に、社内サーバーへの不正アクセス試行が急増。発信元は偽装されているが、解析の結果、シンセイ開発の関連法人が過去に使用していたIPアドレスと酷似――』
シンセイ開発の奴らも、何かに勘づいたのだろう。
仕方がない。八年間、完璧に隠蔽してきたはずの『要』に、ミツルギ重工の代理人弁護士が頻繁に会いに行っていたのだから。
だからこそ彼らはミツルギ重工のデータを必死にハッキングし、どこまで真実に近づいているかを探ろうとしているのだろう。
(実力行使に出てくるのも時間の問題か。焦っているな)
報告書を読み終えてひと息つくと、ふと手元にあった一本の万年筆が目に入った。
それは大学時代、法学部の最優秀特待生として表彰された際に記念品として贈られたものだった。
(これを貰ったとき、まだ麻里は大学にいたんだったな)
艶やかに輝くその万年筆を見つめるうちに、正樹の頭の中に八年前の記憶がよみがえってきた。