君といた日々。
4
風を感じる。

僕はあの後、どうなったのだろうか。
風が、僕の体を撫でているということは、あの世へと行ったのだろうか。 

「スーッぷはっ!」

色々と考えを巡らせていたら、唇に何かが当たる感触を感じた。

「起きて…っ起きて…!」

「げほっ…」

胸に少しの痛みを感じながら、目を覚ました。
どうやら、肺に水が入ってしまったらしい。

「あっ!起きた!大丈夫…?」

視界が段々はっきりとしてきているのを感じ、周りの状況を確認した。

心配そうに僕の顔を覗き込んでいる人がいる。
よく確認すると、ピンクの髪をした綺麗な女の子がいた。

「ゲホゲホッ…あれ…」

「ごめんなさい…私があんな所で歌を歌ったから…」

女の子が泣きそうな顔で、申し訳なさそうに言う。

「ごめんなさい、でもどうして、入っちゃったの?」
と女の子が聞いてきた。

(どうしてって…)

「あまりにも綺麗な歌声が聞こえたから…」

そう答えると、女の子は少し驚いていた。

よく見ると、下半身が『足』ではなく『人魚の尾』だということに気がつく。

「君、人魚だよね?名前は?」

そう問いかけると、微笑み、綺麗な声で
「私の名前?フィオナ。」
と答えた。 

「フィオナ…綺麗な名前だね。」

「!ありがとう!」

「僕はシェイド。」

そう言い、体を起こそうとした瞬間、フィオナがあわてて止めてきた。

「あ、急に起きたら危ないよ」

(優しい子だな。)

「大丈夫。ねぇ、あの歌もう一回聞かせて?」 

そう言うと、フィオナは少し驚いた。けれど、少しだけ嬉しそうにもしていた。

「分かった。ここなら、あまり聞こえないよね。」

「うん。」

「〜♪」

フィオナが歌っている曲は、この国で有名な子守唄だった。

(綺麗な声だな…)

歌い終わると、僕は小さく拍手をした。

さっき知りあったのに、こんなにも惹き付けられるのは、どうしてだろう。

そう思うぐらい、彼女の歌声が綺麗だった。

「どう?」

「凄く綺麗。ありがとう。」

フィオナは、尾をパタパタさせながら嬉しそうに、ふふっと静かに笑った。
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