限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
「その通りだ。この前の僕たちの偶然の出会いについて、かのお方にお知らせしておくべきだろうと思ってね」

 ソファに腰掛けていたイーサンは、待っていたはずの私を特に出迎える様子も見せずに足を組み、まるで自分がこの宮の主のごとく余裕をもって振る舞っていた。

 この態度でわかるように、彼にとっては私は敬意を払うべき女性でもないからか、それとも女性全般に対し、彼は常にこういった舐めた態度なのか。

 どちらでも構わないし……どうでも良いわ。貴族の血を引くというだけの私を娶っても、傲慢なイーサンは何もかもを自分の思うままの自由にするだろうから。

 イーサンの顔がある程度整っているから彼を愛せるかと言われると、私はそうでもない。

 王太子ギャレット様があれほどに人気があるのは、彼の人柄が、ふとした振る舞いにかいま見えるからかもしれない。優しくて真面目で、そして、誰に対しても常に敬意を持って接している。

 目の前のイーサンは巨万の富を得る代わりに、そういう人格者たるべき資質を遠い過去に全部捨てて来てしまっているのかもしれない。

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