限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
 とは言っても、大団円のハッピーエンドを楽しめる心境でもない。自分がそうならないことを知っているから。

 本を元の棚に戻し終えると私の頭くらいの高さにはみ出ている一冊の本に気がつき、私はそれを棚に押し込もうとしたんだけど、何故かそこにあったはずなのに嵌まらない。

 もしかしたら、それはそこにあるべき本ではないのかもしれない。今ここに居る私みたいに。

 そう思って勝手に罪なき本に苛立ってしまった私は、それを力任せに引き抜こうとした。

 その段の本がつられて一緒に棚から落ちて、しまったと思った。いかにも重そうな本で、別に怪我はしないだろうけど、当たったらとても痛そうだったから。

「っ……え……えっ? ギャレット様?」

 痛みに耐えようと反射的に目を瞑って頭に手を当てた私は肩を引かれ体が反転して床に倒れ、彼がその身を持って落ちてくる本から庇ってくれたことに気がついた。

 え。待って。ギャレット様、咄嗟の対応としては、身体能力が余りに高すぎない? 流石は、『雷の子』という二つ名のある人。

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