聖女の力のない令嬢の織った布に、冷徹公爵は恋をした。
リディアはしばらく、何も言えなかった。
力がなければ何もできないわけではない。
その言葉を、これほど自然に口にした人間に、リディアは会ったことがなかった。憐れみでもなく、慰めでもなく、ただ当然のことのように言った。
警戒心の奥で、何かが小さく揺れた。
「……それで、私に何を」
リディアはなんとか声を整えた。
「見せたいというのは工房のことですか。それとも、何か頼みたいことがあるのですか」
アルシェはリディアをまっすぐ見た。
「両方だ」
「両方?」
「工房を見せたかったのは本当だ。そしてもう一つ……」
彼は作業台の引き出しから、小さな布の切れ端を取り出した。